ビタミン剤はいくらのんでも大丈夫?

(監修/医学博士 橋口玲子)

ビタミン剤は現代人の常備薬、というイメージがあるほど、多くの人が常用しています。美肌効果を期待して美容のためにビタミン剤をのむ若い女性のほかにも、不規則で偏りがちな食事をビタミン剤で補おうとする人も多いようです。

中には「たくさん摂れば摂るほど身体にいいだろう」と考え、何種類ものビタミン剤をのんでいる人がいます。たしかにビタミンは健康を保つために必要ですが、摂り過ぎると、過剰摂取によるビタミン過剰症を起こすものもあります。とくに脂にとける性質をもつ脂溶性ビタミンのAとDは、体内に蓄積されて、過剰症を起こす危険性があります。

尿とともに体外へ排出される水溶性のビタミンCでも、大量に摂取すると腹痛や下痢を起こすことがあり、尿路結石になりやすい、という説もあります。

また、かぜや癌の予防、肌を白くするといわれ、女性にもてはやされているビタミンCについては、「天然ビタミンCでなければ価値がない」と信じている人が多いようです。しかし、もともと単純な組成のビタミンCは、自然の食物から抽出した天然ビタミンでも、ぶどう糖などを原料として化学合成したものでも、ビタミンとしての効果に差はありません。

いずれにしても、極端な偏食をしないかぎり、ビタミン欠乏症になることはありません。ですから過剰にビタミンを摂取する必要はありません。

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