30代からの「骨粗しょう症」対策!

丈夫なカラダを保つセルフケア

年とともに骨が弱くなる病気「骨粗しょう症」。骨のなかのカルシウム量は、年齢を重ねるごとに次第に減少し、骨は小さな穴があいてスカスカにもろくなっていきます。ひどい時にはクシャミや咳で骨折してしまうことも…。この骨折が原因で、寝たきりになるお年寄りもいます。今では比較的若いうちから発症する例も増え、決して油断できません。「骨粗しょう症」を防ぐ日頃の予防と対策を、医学博士の橋口玲子先生にうかがいました。(監修/医学博士 橋口玲子)

「骨粗しょう症」予防にはまず子供の時の食事を!

「骨粗しょう症」は、女性に多い病気といわれますが、これは男性に比べて骨が細いというだけでなく、骨の形成に影響する女性ホルモンの量が閉経などで急激に減っていくためです。

女性の骨量が最大になるのは中学生頃、年をとってからあわてても、もう遅い。成長期に骨量をいかに蓄えておくか、つまり"骨の貯金"が一番大切なのです。

とくに日本人はカルシウムが不足しがち。カルシウムが豊富で吸収のよい、牛乳をはじめとする乳製品、肉・魚(とくに小魚)といった動物性食品、ホウレンソウなどの緑黄色野菜をしっかり食べるようにしたいものです。

ただし、リンの摂りすぎには気をつけて。せっかく摂ったカルシウムの骨への吸収を妨げてしまいます。肉には意外にリンも多く含まれ、また加工食品やインスタント食品は、保存料としてリンが入っているので、注意が必要です。

カルシウム剤やカルシウム入りの食品が手っ取り早いと思うかもしれませんが、吸収が悪くあまり効果は期待できません。できるだけ、毎日の食事から摂るようにしましょう。

「日光浴」「適度な運動」でカルシウムを骨に吸収させる

丈夫な骨をつくるには、カルシウムといっしょに、骨を強化する役割を持つ「ビタミンK」の摂取も欠かせません。このビタミンKをたくさん含んでいるのは納豆。ちょうど鉄筋コンクリートの鉄筋に相当するのがカルシウム、セメント(の成分の一つ)をビタミンKと考えればわかりやすいと思います。

腸からのカルシウムの吸収をよくするためには、日光浴も大事なこと。皮膚中のビタミンDは、日に当たるとカルシウムの吸収を活発にする活性型ビタミンDにかわります。長袖のシャツを着て40分ほど日に当たれば十分ですが、窓ぎわで太陽の光を浴びるだけでも構いません(あまり長く紫外線にあたるのは避けてください)。

骨量をふやしたり、今ある骨量をできるだけ減らさずに、丈夫な骨を維持していくには適度な運動も必要です。こまめに体を動かして、骨に刺激を与えましょう。

なわとびや自転車での坂の上り下りが、効果的でおすすめ。ウォーキングなら、日光浴と適度な運動の2つを一度にクリアできて一石二鳥です。

運動不足になりがちな現代。若いうちからの予防が大事

生活が便利になり、車での移動が多くなった現在、昔にくらべると、家事も楽になりました。しかし、これが現代人の運動不足を引き起こしている一因。これからは、意識して運動や日光浴を生活のなかに取り入れていかないとダメ、というわけです。

成人・主婦検診でご存知の方も多いでしょうが、自分の骨がどのくらい健康なのかは「骨密度測定」で知ることができます。

ただし、数値が低めなくらいで、あまり神経質になる必要はありません。骨密度は、測定の方法もさまざまで、測定部位によってもバラツキがあります。大体の目安とするぐらいでいいでしょう。ちなみに、年をとってからは若い人の7~8割を保つことができれば合格です。

ふだんからこれらの予防策を頭に入れて、ぜひ若いうちから「骨粗しょう症」対策を始めましょう。早め早めの予防を心がけたいものですね。

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