動脈硬化をケアすれば、3大疾病は怖くない!

脳卒中・心筋梗塞・糖尿病など、3大疾病につながる動脈硬化。
毎日の〔食事・運動・生活習慣〕で格段にその危険が避けられる!

日本人の死因の第一位はガンですが、第二位の心疾患と第三位の脳卒中を合計すると、ガンをはるかに上回る数字がデータとして示されます。
心疾患も脳卒中も動脈硬化を基盤として起こってくる、いわゆる3大疾病です。最近では男女ともに、40代から狭心症や心筋梗塞を起こす人が増えています。
しかし、いかに動脈硬化を防ぐかによって、脳卒中や心筋梗塞の危険を回避できる確率は大きく違ってきます。(監修/医学博士 橋口玲子)

動脈硬化のしくみと、誘発される3大疾病との関係

台所の流しに油を捨てると、下水道管の内側に油がこびりつきます。そこにさらにゴミなどが付着すると、水の流れが悪くなりますが、この状態が血管に生じたものを動脈硬化といいます。

動脈硬化は、酸化した脂質が動脈の内側にある内皮細胞に傷をつけ、ここから悪玉コレステロール(LDL)が内皮の下にもぐりこんで、たまってしまうことから始まります。

通常、善玉コレステロール(HDL)は、悪玉を取り除く働きをします。しかし悪玉コレステロールの量が増えると、徐々に血管の壁は分厚く硬くなり、血管内部が細くなって血液の流れが悪くなったり、血管がもろく破れやすくなります。

動脈硬化は、全身の血管におきますので、脳血管がもろく狭くなると、脳梗塞や脳出血などの脳卒中が起き、心臓の冠動脈がやられると、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患が起きます。

正常な血管内部
善玉コレステロールが悪玉コレステロールを排除している。

動脈硬化の進んだ血管内部
悪玉コレステロールが増えすぎて、善玉コレステロールが機能しない。内側にだんだんと悪玉コレステロールがたまり血管を細く、もろくしていく。

自分で避けられるリスクファクター(危険因子)と、
自分では避けられないリスクファクター

動脈硬化を進行させる危険因子(リスクファクター)には、悪玉コレステロールや高血圧のような直接的な要因と、喫煙などの間接的要因があります。また、これらの危険因子には自分で避けられるリスクファクターと、自分の力では避けられないリスクファクターがあります。自分では避けられないリスクファクターには、年齢・性別・家族歴(遺伝的な体質)があります。

それでは自分で避けられるリスクファクターにはどんなものがあるのでしょうか。それは高コレステロール、高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、運動不足、ストレスといったものです。危険因子が複数あると、動脈硬化は足し算ではなく、掛け算で進行します。ということは、自ら改善できる因子を良くすれば、動脈硬化は食い止められるということです。

そこで食事を中心に、運動、生活習慣という3つの面から、動脈硬化を防ぐ具体的な対策をご紹介します。

注意したい高コレステロール食品の摂り過ぎと食事内容

毎日の食事において、動脈硬化を防ぐ具体的なポイントは、

  • 悪玉コレステロールを減らす。
  • 酸化した油をできるだけ体内に摂り入れない。
  • 塩分の摂りすぎに注意する。
  • 抗酸化食品を積極的に摂取する。

の4つです。

まずコレステロールの多い食品は、適量を摂取するよう心がけることです。高コレステロール食品に含まれるコレステロールが、すべて悪玉コレステロールというわけではありません。しかしコレステロールを多く摂れば、当然、悪玉コレステロールを摂る可能性も増えていきます。

そんな高コレステロール食品の代表は卵の黄身です。二人で1個を卵トジや茶碗蒸しにするなどの工夫をしましょう。

霜降りやバラ肉など、脂身の多い肉もコレステロールを上げる食品です。またハムやソーセージなどの加工した肉製品にも、意外と脂肪が多く含まれるので注意してください。さらに乳製品に含まれる乳脂肪も、コレステロール値を上げやすい飽和脂肪です。バターやチーズは控え目に、牛乳も成人の場合1日200ccが摂取量の目安です。

酸化した油は大敵

コレステロールの過剰な摂取のほかに、酸化した油脂を体内にできるだけ摂取しないようにすることも大切です。そのために留意したいポイントは、

  • 高温で熱した油で調理した食品(天ぷらやフライなど)を多く摂らないようにする。
  • 酸化しにくい油を料理に使う。

の2点です。

できれば料理は煮る、蒸す、焼くを調理法のメインにしたいものです。揚げるという調理法は、どうしても酸化した油を摂りやすくなるからです。

油の中で最も酸化しにくいのがオリーブ油や菜タネ油。その次にゴマ油があげられます。逆に酸化しやすいのは紅花油やコーン油の類です。

塩分の摂り過ぎに注意

塩の成分であるナトリウムの摂り過ぎは高血圧につながります。塩の摂り過ぎに注意するとともに、ナトリウムの排泄を促すカリウムに富む野菜や果物を摂るようにしましょう。

抗酸化食品は動脈硬化を防ぐ

過剰に塩分や高コレステロール食品、酸化した油を摂らないことも大切ですが、食品の中には体内での酸化反応を防いでくれるものもあります。

野菜や果物、胚芽などに含まれるビタミンCやE、カロチンなどのほか、サバ、イワシなどの青魚に含まれるEPAやDHAがその代表的なものです。これらの食品には抗酸化作用があり、硬化した脂質や活性酸素で血管壁や細胞が傷つくのを防いでくれます。

以上食事について述べてきましたが、大切なのはどの食品も益にもなれば害にもなる、ということです。いろいろな種類の食品を少量ずつ多種類摂ることを心がけましょう。

運動による3大疾病の予防

日頃の運動において、動脈硬化を防ぐポイントは、

  • 酸素を体内に取り入れる有酸素運動が有効

有酸素運動としては、最近多くの方が実践されているウォーキングがおすすめです。手軽で血圧の高い方でも安全です。1回30分のウォーキングを週5日続けて行えば、3ヶ月から6ヶ月の比較的短期間で血圧降下などの効果が目に見えてあらわれます。

ただし無理をしたり、やり過ぎは却って心臓への負担になり、減量や血圧降下の効果は薄くなります。動悸や息切れは感じないが、うっすらと体が汗ばむ程度のペースがベストでしょう。いつもより歩幅を10センチ程度大きくし、両手を振って歩くことが大切です。またストレスの緩和にも効用があります。

生活習慣を見直せば、病気へのリスクが大きく変わる

生活習慣の中で、大きなリスクを及ぼすものとして、

  • 喫煙
  • ストレス

のふたつがあげられます。

タバコに含まれるニコチンは血管収縮作用があり、冠動脈を収縮させて狭心症発作を誘発したり、血圧を上げます。また喫煙によって善玉コレステロールも減少します。

このように喫煙は、動脈硬化性疾患やガンをひき起こす危険因子なのですが、自分の意思でやめることができるものです。タバコを吸う方は、是非禁煙を考えてください。

ストレスによる血圧上昇や冠動脈収縮に要注意!

また高血圧や狭心症との関係で重要な危険因子がストレスです。男女の別なくなにかしらのストレスを抱えているのが現代人。ストレスは自律神経系やホルモンを介して血圧を上げ、冠動脈を収縮させます。また体の回復力も低下させます。日頃から自分なりのストレス発散法をみつけるよう努力してください。

ここまで紹介してきたことは、日頃から気をつければ、難しくなく実践できるものばかりです。この機会に自分のそして家族の健康管理に、目を向けてください。

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