漢方薬はどんなときに服用すればいい?

(監修/医学博士 橋口玲子)

漢方医学は身体や臓器のバランスが崩れることが病気の原因と考えていますので、失われたバランスを回復させることが治療となります。だから、西洋医学の「熱があるから熱さまし」的志向とは多少考えを異にしています。

しかし、漢方薬が急性の病気には対処できないと考えるのは間違いです。例えば、かぜのひき始めで少し寒気があり、首の後ろの部分がこわばっていて、汗があまり出ていないときには、葛根湯を。一方、手足が冷え、クーラーが嫌いな人が、くしゃみと水のように薄い鼻水が急に出て止まらないときは、小青竜湯を服用すると速効性の効果があります。

また、慢性の病気に対しても、漢方薬は長期間、飲み続けないと治らないというのも間違いです。例えば、副鼻腔炎や歯周囲炎など、長期間抗生物質を使っても治りにくい病気に対して驚くほど早く良くなることがあります。さらに、慢性関節リウマチなどの、細菌性ではない慢性の炎症疾患にも、一部西洋医学との併用治療でかなりの高い効果が得られ、副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤の減量や離脱にも役に立ちます。このようにきちんと処方された漢方薬を服用すれば、即効性があり、長く続いた症状も1~2週間で回復することもあります。また、西洋医学の薬に比べ、漢方薬のほうが体にやさしいと思う人も多いでしょう。しかし、漢方薬の中には毒性のものもあり、きちんと処方された薬を服用しないと副作用の恐れもあります。

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