ガーデニングというと、広い庭がないと……、などと考えてしまう人が多いようですが、花を思う存分あしらえるようなスペースのある環境に恵まれている人は多くありません。
そこでおすすめしたいのが、小さなスペースでも工夫しだいで様々な演出ができるコンテナガーデニングです。鉢やプランターなどの容器に草花を植えて楽しむのがコンテナガーデニングです。庭がなくても、ベランダの片隅でもできますし、ちょっとしたスペースや壁面などのデッドスペースなどを利用しても楽しめます。
ここでは育てた花を、[いかに美しく・効果的に見せるか]という演出術にスポットをあてました。これだけは知っておきたい、ちょっとした工夫とコツをお役立てください。(監修/グリーンコーディネーター 杉井明美先生)
演出の“ツボ”はバランス感覚
コンテナガーデニングに限らず、草花を美しく演出するのに大切なのがバランスです。後に述べる色や高低差など、バランスのよいアクセントをつけることで、より効果的な演出が可能になります。
このバランスのコツをつかむまでは、はじめての方には単色や単種類などの、シンプルなスタイルをおすすめします。はじめからあまり多くの色や種類を使うと、それだけバランスをとるのが難しくなるからです。
しかし単色や単種類だからといって、決して単調なものになることはありません。たとえば単色の場合、植物の形で変化を見せるとか、大きい花と小さい花を組み合わせるとか、背の高いものと低いものを組み合わせるなどで、十分に変化のあるものにできます。
色づかいの名人は、名演出家!
カラーコーディネートがうまくいくと、花の美しさがグーンとひきたちます。ここでは、花の色やその割合を考えるときに大切な要点をまとめてご紹介します。
はじめは同系色の植物同士を組み合わせる。また、色は使っても2、3色にし、しかも近い色同士を組み合わせます。あまり多くの色を使うと統一感がなくなります。
同系色の花をあしらう場合は、トーンの差をつけます。また、花の形も違うほうがひきたちます。
逆に違う色を組み合わせるには、トーンを濃・淡どちらか一方に統一することが大切です。
赤と緑、黄色と紫など、反対色(補色)を組み合わせるときは、どちらかの色の割合を少なくします。
花の形が似たもの同士を組み合わせる場合は、色で差をつけると効果的です。
高低差も大切な"キーワード"
色のバランスと同じくらい、高低差のバランスをとることも大切です。わずか数センチの差で、コンテナ全体に立体感が加わり、視覚的変化が生まれます。
たとえば、レンガや市販のスタンドで少し高さに変化を加えるだけでも、コンテナ全体が立体的になって見ばえがします。また同じくらいのボリュームがある鉢を並べるときも、高低差をつけるとグンとひきたちます。
レンガや市販のスタンドを利用して高低差をつける!
同じようなボリュームで並べるときは、必ず高低差をつける!
植えつけは花のタイプを考えて!
コンテナガーデニングで、「こんなはずじゃ…」と後悔するのが、花の生長後の仕上がりイメージの違いです。
草花はそれぞれ独自の形に生長していきます。植えたときとその形が変化するので、つい仕上がりのイメージが違ってしまうのです。そんなことにならないよう、あらかじめ植物に生長のタイプがあること知り、逆にそれを利用したレイアウトを心がけましょう。
ここでは3つのタイプがあることを覚えておいてください。
上に伸びていく[背比べ型]
アネモネやキンギョソウ、ストックなど、上に向かって生長するタイプ。上下の空間を埋めるのに最適です。
左右に広がる[おまんじゅう型]
デージー、マリーゴールド、ニチニチソウなど、左右にこんもりと、おまんじゅうの形のように大きくなるタイプ。
コンテナガーデンにボリュームをもたせる効果を発揮します。
這う、垂れ下がる[末広がり型]
アイビー、バーベナ、ラミウムなど、地面を這うように伸びたり、生育につれて垂れ下がったりするタイプ。コンテナの縁まわりなどを演出するのに適しています。
門まわりの演出
ここからはシチュエーション別に、実践的なコンテナガーデニングの演出法を紹介します。
門まわりの演出は、家の顔を飾ることはもちろん、家の前を通る方にも楽しんでもらうことができます。
- あまりごてごて飾りつけない!
- 門扉の左右どちらかにポイントをおくため、そちら側に大きなコンテナを置き、反対側には小さなものをアレンジしてアクセントを作ります。
- 門扉に吊るす(ハンギング)鉢も、同じ高さにではなく、段差をつけたほうが効果があります。
玄関まわりの演出
玄関は来客の方への印象が強い場所であるとともに、住人も毎日利用する場所ですので、美しく飾りたいものです。あまり多くの色を使わず、シンプルがベストです。
- カラーリングはシンプルに。
- 人の出入りが多いので、玄関から「ハ」の字型に外側に広げるようにコンテナを置きます。
- 玄関の左右どちらかにポイントをおき、コンテナの数をわざとアンバランスにして、変化をつける!
アプローチの演出
門から玄関までのアプローチがある家では、ここでもちょっとした演出が楽しめます。カーブをいかに演出するかがポイントのひとつです。
- アプローチがカーブしている場合は、カーブの外側に比べて内側に 少しボリュームをもたせて配列するとバランスがよくなります。
- 門から歩いてくる人の視線が向くところに、ちょうどコンテナをレイアウトするのも大切です。