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基礎知識

妊娠・出産・育児中に受けられる助成制度とは?
受給条件や金額を紹介!

日本には、妊娠・出産・子育てを支えるための公的保障が複数存在します。
子どもを産み、育てるにはかなりのお金がかかりますので、公的保障を上手に活用し、出費をできるだけ抑える工夫をしましょう。

この記事では、妊娠や出産、子育て中に受けられる助成制度の概要やもらえるお金について解説します。

妊娠・出産・育児期間中に利用可能な公的保障はたくさん!

ママやパパにとって大きなライフイベントになる出産。

新しい家族を迎えるのはワクワクしますが、世帯人数が増えると家計が大きく変化するので、お金のこともしっかり考えなければなりません。

そんなとき、最大限に活用したいのが国や自治体が実施している公的保障制度です。

国や自治体では、子どもを産み、育てる夫婦を金銭面でサポートするためのさまざまな助成制度を設けています

妊娠・出産・子育てでは、申請をすることでもらえるお金が少なくありません。

利用するには所定の要件を満たす必要があるため、条件に合致するかどうか、しっかり把握しておきましょう。

妊娠・出産・子育てでもらえるお金(助成金や手当金)は、受給するためにそれぞれ申請手続きが必要です。

しかし、申請手続きをする手間以外のデメリットはありませんので、要件を満たす場合は公的保障制度を最大限に活用しましょう

出産にかかる費用について、詳しくは「出産にかかる費用はいくら?自己負担額を減らす方法を解説!」を参考にしてください。

妊娠期間中の公的保障

妊娠期間中に利用できる主な公的保障制度は3つあります。

妊娠期間中に利用できる主な公的保障制度とその保障内容

ここではそれぞれの制度の目的や受給条件、受給金額の計算方法について解説します。

妊婦健診費の助成

妊娠中は普段よりも体に気をつけなければいけないため、産婦人科で定期的に妊婦健診を受ける必要があります。

妊婦健診は、妊娠初期〜23週までは4週間に1回、妊娠24〜35週までは2週間に1回、妊娠36週〜出産までは1週間に1回のペースで受診するのが標準的な例として厚生労働省が示しています。[注1]

もし1回目の受診が妊娠8週だった場合、出産予定日までに計14回の妊婦健診を受けることになります。健康保険もきかず、かなりの費用がかかることになるため、各自治体で設けている、妊婦健診の費用を助成する制度を活用しましょう。

助成の方法や利用できる回数は自治体によって異なりますが、標準的な回数である14回分の助成券を交付するパターンが多いようです

助成券は、妊娠したときに自治体から交付される母子健康手帳と共に手渡されますので、産婦人科などでもらえる妊娠届出書に必要事項を記載し、お住まいの役場の窓口に提出しましょう。なお、初診時は母子健康手帳がなく助成券がないため、自費となります。

助成される額は自治体によって異なりますが、地域ごとの妊婦健診費用をもとに決められているので、特別な検査等をしていなければ、大きな差額を支払わなければならないケースはまれでしょう。

[注1]厚生労働省「妊婦健診Q&A」

傷病手当金

傷病手当金とは、健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)といった健康保険に加入している会社員が受けられる、業務外の病気やケガで働けなくなった際に支払われる手当金のことです。自営業者などが加入する国民健康保険にはない制度です。

妊娠そのものは病気ではありませんが、妊娠にともなって起こるつわりや切迫流産、早産、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの症状は「業務外の病気」とみなされ、傷病手当金支給の対象となる場合があります

傷病手当金は、会社で健康保険に加入しており、業務外の事由による療養のために連続3日間以上働けなくなった人に対し、4日目以降の休んだ日に対して通算で最大1年6ヵ月にわたって支給されます。[注2]

傷病手当金について、詳しくは「傷病手当金の金額はいくら?計算方法や支給条件を知っておこう!」でも紹介しているので参考にしてください。

[注2]厚生労働省「傷病手当金について」

出産手当金(産休手当)

出産手当金とは、出産のために会社を休業した場合にもらえるお金のことです。

全国健康保険協会(協会けんぽ)では、以下の要件に該当した場合にもらえるお金として、出産手当金が支給されます。[注3]

“被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。”

また、出産手当金としてもらえる金額は以下の計算式で算出されます。

1日あたりの金額=「支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3」[注3]

出産手当金の詳しい情報は「出産手当金とは?いつから・どれくらいもらえるの?」も参考にしてください。

[注3]全国健康保険協会(協会けんぽ) 「出産で会社を休んだとき」

出産時の公的保障

出産時のイメージ

出産した時に活用することでお金をもらうことができる公的制度は、大きく分けて3つあります。

出産した時に活用できる主な公的制度とその保障内容

ここではそれぞれの公的保障の概要を説明します。

出産育児一時金

出産育児一時金とは、健康保険や国民健康保険の被保険者やその扶養者が出産したときに、一定の金額が支給される制度のことです。[注4]

支給額は1児につき42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.8万円)で、健康保険や国民健康保険の被保険者やその扶養者であれば、どなたでも受給できます。

受給の方法には直接支払制度と受取代理制度の2パターンがあります。

いずれの場合も、もらえるお金(出産育児一時金)は保険者(国民健康保険や協会けんぽ等)から医療機関に直接支給されるため、窓口での負担は42万円を超えた分のみとなります。[注4]

[注4]厚生労働省「平成23年4月以降の出産育児一時金制度について」

高額療養費制度(帝王切開の場合)

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヵ月で上限額を超えた場合、その超えた分を支給する制度のことです。[注5]

対象となるのは健康保険が適用される療養費に限られるため、通常のお産では高額療養費制度は利用できません。

ただし、切迫早産や妊娠悪阻での入院、帝王切開で出産した場合など健康保険が適用される治療を受けたものは、高額療養費制度の対象となります。

なお、上限額は年齢や所得によって定められているので、健康保険が適用される医療費がかかった際は、その月の医療費を合算し、上限額を超えているかどうかチェックしてみましょう。高額な医療費がかかることがあらかじめわかっている場合は、入院前など事前に、加入先の健康保険に「健康保険限度額適用認定証」を交付してもらうと良いでしょう。医療機関の窓口に限度額適用認定証を提示すれば、自己負担額のみの精算で済むので安心です。

[注5]厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」p3

医療費控除

医療費控除とは、申告者や、その人と生計を一にする親族のために支払った医療費の10万円を超える部分を、所得税等を算出する際に、所得金額から控除できる仕組みのことです。[注6]

医療費控除額は以下の計算式で求められます。[注6]

医療費控除額=(その年に支払った医療費の総額-保険金などで補てんされる金額)-10万円(所得の合計額が200万円までの人は所得合計額の5%)

医療費控除で控除される額は最高200万円までで、所得税の確定申告書に必要事項を記載し、医療費控除の明細書を添えて税務署に提出する必要があります。[注6]

出産にともなう費用のうち、医療費控除の対象となる具体例は次のとおりです。[注7]

・妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用(通院費用も含む)
・出産で入院する際、電車やバスなどの公的交通機関の利用が困難で、タクシーを利用した場合の交通費
・病院に対して支払う入院中の食事代

なお、里帰り出産のために実家に帰省する交通費や、入院中の出前や外食にかかった食事代、入院に使用する寝巻きや洗面具など身の回り品の購入費は控除対象外となります。

医療費控除を計算する際には、健康保険組合などからもらう出産育児一時金は医療費から差し引かなければならないことに注意が必要です。

[注6]国税庁「医療費控除を受ける方へ」
[注7]国税庁「No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例」

育児期間中の公的保障

育児期間中のイメージ

育児期間中に利用できる主な公的保障は2つあります。

育児期間中に利用できる主な公的保障とその保障内容

ここではそれぞれの概要について解説します。

育児休業給付金

育児休業給付金とは、労働者が育児休業を取得しやすくし、かつその後の職場復帰をスムーズにするための援助・促進を図るために設けられた制度です。[注8]

受給対象となるのは、育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12ヵ月以上ある場合で、なおかつ育児休業終了後に職場復帰する予定のある人です。[注9]

支給額は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%、育児休業開始から6ヵ月経過後は50%となります。[注9]
なお、支給額には上限が設けられており、令和4年7月31日までの1ヵ月あたりの上限額は、給付率67%の場合で301,902円、50%の場合で225,300円です。

受給手続きを行うには、雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書と、育児休業給付受給資格確認票、賃金の支払い状況を証明する書類、母子手帳の4つを揃えて、最寄りのハローワークに提出する必要があります。

育児休業給付金は、原則として養育している子が1歳になった日の前日(誕生日の前々日)まで支給されます。[注9]

なお、保育園に入園できないなど一部の条件に該当する場合は、養育する子が1歳6ヵ月(問題が解消されない場合は2歳)まで受給することも可能です。

[注8]厚生労働省「雇用保険事務手続の手引き 第11章 育児休業給付について」令和3年8月版
[注9]厚生労働省「Q&A〜育児休業給付〜」

児童手当

児童手当とは、子ども・子育て支援の適切な実施を図るために導入された制度のことです。[注10]

支給対象となるのは中学校卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人です。[注10]

支給額は児童の年齢によって異なり、3歳未満は一律15,000円、3歳以上小学校修了までは10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生は10,000円となります。
児童を養育している人の所得が、所得制限限度額以上、所得上限限度額未満の場合は、特例給付として月額一律5,000円の支給を受けられます。所得上限限度額以上の場合、令和4年10月支給分から児童手当をもらえなくなります。
たとえば、会社員の共働きで子どもが1人の場合、夫婦のうち年収が高い方の人の年収が875.6万円を超え1,124万円未満で児童手当は一律月額5,000円に、1,124万円を超えると0円となります。
※年収はあくまで目安です

支給日は原則として毎年6月、10月、2月となります。

児童手当の受給には、お住まいの役場に「認定請求書」を提出する必要があります。
これまでは、児童手当を受給し続けるには毎年現況届を提出する必要がありましたが、令和4年6月分以降については、現況届の提出は不要となります。[注10]

[注10]内閣府「児童手当」
*社会保障に関する記載は2022年6月現在の制度にもとづくものであり、制度内容等は今後変わる可能性があります。個別の取扱等については所轄の年金事務所等にご確認ください。
*税務に関する記載は2022年6月現在の税制にもとづくものであり、税務の取扱等は今後変わる可能性があります。個別の取扱等については所轄の国税局・税務署等にご確認ください。

まとめ

妊娠・出産・育児中に利用できる公的保障は多数存在しますが、それぞれ受給要件が異なります。

妊娠・出産そのものにお金がかかるのはもちろん、子育て中は将来の教育費も準備しなければなりませんので、自身の家庭ではどの公的保障を利用できるのか事前に確認し、できるだけ家計の負担を抑えましょう。

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