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基礎知識

傷病手当金の金額はいくら?
計算方法や支給条件を知っておこう!

会社員として健康保険等公的医療保険に加入している人がケガや病気で働けなくなった場合、傷病手当金を申請することができます。
傷病手当金はケガ・病気の療養で働けない人の貴重な収入源となりますので、万一の場合に備え、受給の要件や支給日、支給期間、金額などをチェックしておきましょう。

この記事では、傷病手当金の概要と計算方法、支給日、支給期間、受給の条件について解説します。

傷病手当金とは?

傷病手当金とは、業務外の事由(病気、ケガなど)で療養し、働けなくなった場合に支給される手当金のことです。[注1]

傷病手当金が設けられた背景について、全国健康保険協会(協会けんぽ)では以下のように説明しています。[注2]

“傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます”

病気やケガによって就労できない場合の給与について、支給の可否は事業者の判断に委ねられています。

そのため、会社によっては業務外の病気・ケガによって就労不能になった場合、給与が支給されない場合があります

病気・ケガで療養中は治療費がかかる上、自分や家族の生活費も必要になるため、収入が減ってしまうのは大きな痛手です。

傷病手当金は、そんな「もしも」に備えるために設けられた制度で、療養中の逸失収入を補填することができます。

ただし、傷病手当金を受給するには一定の要件を満たしている必要があります。

傷病手当金の受給要件について、詳しくは後述します。

[注1]厚生労働省「傷病手当金について」
[注2]全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」

支給される傷病手当金の計算方法

傷病手当金の計算をしているイメージ

傷病手当金の支給金額は、以下の計算式で算出されます。

1日あたりの傷病手当金=直近12ヵ月の標準報酬月額を平均した金額÷30×2/3[注3]

なお、国家公務員共済組合(国共済)・地方公務員共済組合(地共済)、私学共済事業(私学共済)から支給される傷病手当金の計算式は、それぞれ以下の通りです。

国共済・地共済と私学共済の傷病手当金の計算式

標準報酬月額とは、1ヵ月あたりの給料を1等級〜50等級までに区分したもので、主に健康保険料や厚生年金保険料を計算するときに使用されます。[注4]

仮に直近12ヵ月分の平均標準報酬月額が26万円だった場合、1日あたりの傷病手当金の支給金額は26万円÷30×2/3=5,780円となります。

なお、健康保険の被保険者期間が12ヵ月に満たない場合は、以下いずれかのうち低い額を算定の基礎とします。[注3]

●当該被保険者の被保険者期間における標準報酬月額の平均額
●当該被保険者の属する保険者の全被保険者の標準報酬月額の平均額

[注3]厚生労働省「傷病手当金について」
[注4]厚生労働省「いっしょに検証!公的年金「標準報酬月額」」

傷病手当金の調整

ここまで傷病手当金の計算方法を説明しましたが、上記の例はあくまで会社から給与などを受け取っていない場合です。

全国健康保険協会(協会けんぽ)では、傷病手当金の一部または全部が支給されないケースとして、以下の5つを挙げています。[注5]


ア.給与の支払いがあった場合

イ.障害厚生年金または障害手当金を受けている場合

ウ.老齢退職年金を受けている場合

エ.労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合

オ.出産手当金を同時に受けられるとき

ただし、ア〜エについては、以下のケースに該当する場合、差額を傷病手当金として受け取れます。[注5]


●休んだ期間についての給与の支払いがあってもその給与の日額が、傷病手当金の日額より少ない場合
●障害厚生年金の額(同一支給事由の障害基礎年金が支給されるときはその合算額)の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合
●老齢退職年金の額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合
●休業補償給付の日額が傷病手当金の日額より少ないとき

また、オについては

“傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額を支給すること”
としています。

[注5]全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」

いつからいつまでもらえる?支給日と支給期間

傷病手当金の支給期間について、以前は同一の病気・ケガに関して、支給を始めた日から起算して1年6ヵ月を超えない期間と定められていました。[注6]

そのため、支給期間中に途中で就労し、傷病手当金が支給されない期間があった場合でも、起算日から1年6ヵ月までしか傷病手当金を受け取ることができませんでした。

しかし、令和4年1月1日からは、健康保険法等の改正により、傷病手当金の支給期間が通算されることになりました[注7]

法改正後は、途中就労などによって傷病手当金が支給されない期間があった場合、その期間は傷病手当金の支給期間から除外されます。

たとえば令和4年4月1日から傷病手当金の支給が開始されたと仮定した場合、以下のようになります。

従来の制度と法改正後の傷病手当金の支給期間

従来の制度では、途中で傷病手当金を受け取らない期間があっても、令和5年9月30日で傷病手当金の支給は終了します。

一方、法改正後は、仮に令和4年7月1日〜5日までの5日間にわたって途中就労し、その間の傷病手当金を受け取らなかった場合、令和5年10月5日まで繰り越して傷病手当金を受給できます。

従来の制度では傷病手当金の支給金額が減ってしまうことから、休業期間中の就労はなるべく避けなければなりませんでしたが、法改正によって休業期間中でも治療と仕事をうまく両立させることが可能となっています

[注6]厚生労働省「傷病手当金について」
[注7]厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」

傷病手当金を受け取れる条件は?

入院している人のイメージ

全国健康保険協会(協会けんぽ)では、傷病手当金の受給要件として、以下4つをすべて満たすことを条件としています。[注8]


1.業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

2.仕事に就くことができないこと

3.連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

4.休業した期間について給与の支払いがないこと

1に関しては、
“健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象となります”
[注8]と定めています。
3に関しては、
“有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません”
[注8]としています。

[注8]全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」

傷病手当金を受給している間の注意点

傷病手当金の支給対象になる療養期間中の社会保険料について、全国健康保険協会(協会けんぽ)は以下のように回答しています。[注9]

“休職中で給与の支払いがなくとも社会保険料はかかります。”

また、同様に住民税は、前年所得に対してかかるため、休職中も支払う義務があります。

なお、全国健康保険協会(協会けんぽ)では、傷病手当金の受給期間中の社会保険料について、以下のように説明しています。

“本人が負担する保険料を会社が負担した場合、賃金の支給とみなされ、傷病手当金が調整されます“
[注9]

傷病手当金が調整されると、受給金額が減ってしまう点に注意が必要です。

[注9]全国健康保険協会(協会けんぽ)愛知支部「健康保険事務実践講座」
*社会保障に関する記載は2022年6月現在の制度に基づくものであり、制度内容等は今後変わる可能性があります。個別の取扱等については所轄の年金事務所等にご確認ください。

まとめ

公的医療保険に加入する会社員等が、業務外の病気・ケガによって休業した場合に支給される傷病手当金には、受給要件が明確に定められています。

要件を満たしていない場合は傷病手当金を受け取れない可能性があるほか、給与など他の手当を受けている場合は受給額を減額される場合があります。

業務外で病気・ケガをしたときに備え、傷病手当金の条件や受給金額をしっかり確認しておきましょう。

また、病気・ケガで働けなくなった場合に備え、就業不能保険への加入を検討することをおすすめします。

「スマ保険」の「働けなくなったときの保険」は、入院または所定の軽度就業不能状態が30日継続した時点で、入院・軽度就業不能給付金を受け取ることができます。

病気・ケガで働けなくなった場合でも自身や家族の生活をしっかり守りたいとお考えの際は、「スマ保険」の「働けなくなったときの保険」をぜひご検討ください。

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