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基礎知識

貧血とは?
原因と予防方法について知ろう

貧血=立ちくらみ、めまい、女性に多い…といったイメージをもたれがちですが、実際は症状もさまざまですし、性別に関係なく発症する可能性があります。
「なんだか身体がだるい」「疲労が抜けない」などの症状が長引く方は、貧血に陥っている可能性がありますので、早めに原因を突き止め、適切な対処を行うようにしましょう。

この記事では、貧血の基礎知識や主な原因、予防法、注意点についてわかりやすく解説します。

貧血ってどんなもの?

貧血とは、血液の成分である赤血球に含まれる「ヘモグロビン」という色素の濃度が低下した状態のことです。

ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を担っているため、貧血になると身体が酸素不足に陥り、めまいや立ちくらみ、動悸、息切れなどの症状が起こりやすくなります。

人によっては、頭痛や眠気、耳鳴り、集中力の低下、倦怠感、味覚異常などの症状が起こることもあるため、よく知られるめまい・立ちくらみの症状がないからといって、貧血ではないと言い切ることはできません。

採血による貧血検査では、ヘモグロビン値が成人男性で13g/dL未満、成人女性で12g/dL未満の場合、貧血と診断されます[注1]

厚生労働省がまとめた「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、ヘモグロビン値が基準を下回っている割合は男性で約10%、女性で約13%に上っており、10人に1人は貧血であることがわかります。[注2]

貧血は適切な処置を行えば快方に向かいますが、知らずに同じような生活を続けていると、どんどん悪化していくおそれがありますので、健康診断でヘモグロビン値が基準値以下、あるいは基準値ギリギリの方は、早めに貧血予防を行うことをおすすめします

[注1] がん情報サービス「貧血について」
[注2]厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」

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貧血の原因として考えられるものは?

貧血のイメージ

貧血になる原因は複数あり、それぞれ治療法が異なります。

ここでは貧血の主な原因を4つご紹介します。

1.鉄の不足

貧血のうち、最も多いのは鉄不足によって発生する「鉄欠乏性貧血」です。

ヘモグロビンは鉄から作られるため、鉄が不足すると赤血球のヘモグロビン値が低下し、貧血の症状に悩まされるようになります。

特に女性は、月経や妊娠などによって鉄欠乏性貧血に陥りやすいといわれています。[注3]

[注3]厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」

2.その他の栄養素の不足

ビタミンB12はヘモグロビンの生成を助ける働きがありますが、胃がんの手術などで胃を切除すると、ビタミンB12の吸収ができなくなり、ビタミン欠乏から来る貧血に陥ることがあります。[注4]

同様に、葉酸もビタミンB12と協力してヘモグロビンの生成をサポートしていますが、食生活の偏りなどによって栄養不足に陥ると、貧血のリスクが高くなります。

[注4]がん情報サービス「貧血について」

3.病気

慢性腎臓病や関節リウマチ、甲状腺疾患といった慢性の病気に罹患すると、貧血を併発することがあります。

また、がんに罹患すると、がんができた部位から出血したり、がん細胞が骨髄に入り込んだりすることで赤血球が通常よりも早くに壊れ、貧血が起こることもあります。

病気そのものが原因になるだけでなく、薬物療法や放射線治療など、病気の治療によって貧血が起こるケースもあるようです。

がんについて、詳しくは「がんとはどんな病気?基礎知識と診療方法」も参考にしてください。

4.その他の原因

栄養不足でも病気でもない貧血の原因は、今のところはっきりしておらず、加齢による男性ホルモンの減少や、潜在的な炎症などが要因ではないかと考えられています。

こうした原因不明の貧血は65歳以上の高齢者に多く、全体の2割〜3割を占めているといわれています。[注5]

[注5]国立長寿医療研究センター「健康長寿ナビ 貧血の原因は?」

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貧血の予防方法は「鉄対策」

貧血の中で最も多い「鉄欠乏性貧血」は、鉄を補うことで予防可能です。

ミネラルの一種である鉄はさまざまな食材から摂取することができますので、貧血あるいは貧血予備群の方は、日常の食生活を見直すところからスタートしましょう

なお、食材に含まれる鉄は、大きく分けて「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。

ヘム鉄は非ヘム鉄より体内吸収率が高く、効率よく鉄を補給することが可能ですが、実際はヘム鉄か非ヘム鉄の、どちらかのみを食べるということはありません。

ヘム鉄は赤身の肉や魚、レバーなどに多く含まれており、それぞれの鉄量は以下の通りです。[注6]

ヘム鉄が多く含まれる食材と鉄量

一方の非ヘム鉄は、乳製品や大豆製品、青野菜、ひじきなどに多く含まれていて、それぞれの鉄量は以下の通りです。

非ヘム鉄が多く含まれる食材と鉄量

[注6]厚生労働省e-ヘルスネット「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」

たんぱく質やビタミンなども摂取しよう

上記で食材ごとの鉄量を紹介しましたが、すべての鉄が体内に吸収されるわけではなく、実際の吸収率はおよそ15%程度とされています。[注7]

1日の鉄の摂取目安量は、成人男性で7.5mg、月経のある女性では10.5mg(月経がない女性は6.5mg)ですので、食材から十分な鉄を摂取するためには、体内吸収率を高める工夫をこらすことが大切です。

鉄はビタミンCと一緒に摂取すると吸収率がアップしますので、ビタミンCの多い緑黄色野菜と一緒に調理すると効果的です。

また、ヘモグロビンの生成には鉄だけでなくたんぱく質も必要なので、卵やあさりなどの食材も積極的に摂取するとよいでしょう。

[注7]厚生労働省e-ヘルスネット「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」

鉄の過剰摂取には注意しよう

鉄を過剰摂取するイメージ

貧血対策には鉄の摂取がおすすめと説明しましたが、1日の推奨摂取量を大幅に超えると、便秘や胃腸障害、鉄沈着、亜鉛の吸収阻害といった鉄の過剰症を引き起こす可能性があります。

そのため、厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、15歳以上の鉄の耐容上限量を男性で50mg/日、女性で40mg/日とし、これを超える鉄の摂取は控えるよう注意喚起しています[注8]

前述の通り、鉄の体内吸収率は決して高くなく、かつ食材ごとの鉄含有量もそれほど多くないので、普通に食事をしているぶんには鉄の摂取量が耐容上限量を超えることはほぼありません。

ただ、不足する鉄を補うためにサプリメントなどを使用すると、耐容上限量を超えてしまう可能性があります。
鉄は体内吸収率の低い栄養素ですので、必要に応じて鉄サプリメントを使用するのは有用な手段のひとつですが、過剰摂取はかえって体に負担をかける原因となりますので、サプリを利用するときは用法・用量をよく守って正しく使うことが大切です。

[注8]厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」P319

妊婦さんの鉄過剰摂取は妊娠糖尿病のリスクを高める原因にも

鉄の過剰症は誰にでも起こり得る症状ですが、特に妊婦さんの場合、鉄の過剰摂取が妊娠糖尿病のリスクにつながる恐れがあります。

妊娠中の女性はより多くの鉄が必要とされていますが、鉄サプリなどによる過剰摂取は妊娠中のトラブルを招く原因になることもありますので、サプリの取り扱いには十分な注意を払いましょう。

なお、産院に相談すれば、医師の診断のもと、鉄剤を処方してもらうことも可能です。

自己判断で鉄サプリを利用するよりも、まずは産院に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

まとめ

貧血は身近な症状で、特に女性にとっては、妊娠中や月経があるうちは貧血の諸症状に悩まされやすくなります。

貧血の原因は多くの場合、体内の鉄不足ですので、赤身の肉や魚、青菜、ひじきなど鉄を多く含む食材を上手に活用し、毎日の食事から必要な鉄を摂取することを心がけましょう。

必要に応じてサプリを活用するのも有効ですが、過剰に摂取すると身体に負荷がかかり、過剰症を引き起こす原因になりますので注意が必要です。

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