がん保険
がんとはどんな病気?
基礎知識と診療方法
がんは、適切な治療を受ければ治せる病気になりつつありますので、もしもの場合に備えて、がんに関する正しい知識を学んでおきましょう。
この記事では、がんの基礎知識や発生する仕組み、主な種類、治療方法についてわかりやすく解説します。
目次
- がんとはどんな病気?
- がんが発生する仕組み
- がんの種類 固形がん 血液がん
- がんの治療法
がんとはどんな病気?
がんとは、心疾患、脳血管疾患とならび、日本人の死因の上位を占める三大疾病のひとつです。
いつ・どの部位にがんが発生するかは人によって異なりますが、男性は大腸・前立腺・胃・肺・肝および肝内胆管の5部位の罹患率が高く、特に大腸がんは50代から罹患率が上昇する傾向にあります。[注1]
一方、女性は乳房・大腸・子宮・肺・胃の5部位の罹患率が高く、特に乳がんは20代後半から罹患リスクが高まるところが特徴的です。
がんで死亡する確率は、男性は26.7%、女性は17.8%と、罹患率に比べると低い傾向にありますが、がんの治療には長い時間がかかるため、早期発見・早期治療が重要とされています。[注2]
[注1]厚生労働省健康局がん・疾病対策課「平成30年全国がん登録 罹患数・率 報告」P19
[注2]がん情報サービス「最新がん統計」
がんが発生する仕組み
がんは、正常な細胞の遺伝子が傷ついてできた異常な細胞が、無秩序に増え続けて発生する病気です。
「悪性腫瘍」とも呼ばれることがありますが、まず「腫瘍」とは細胞のかたまりのことです。
正常な細胞は、体や周囲の状態に応じて、増えたり、増えることをやめたりします。しかし、何らかの原因で遺伝子に傷がついた異常な細胞が、体の中に細胞のかたまりを作ることがあります。
悪性腫瘍、つまりがんとは、このような腫瘍のうち、異常な細胞が基底膜を越えて周りに広がったり(浸潤)、さらに血管などに入り込んで全身に広がる「転移」をしたりするもののことをいいます。
正常な細胞が必要に応じて増える→古くなった細胞が脱落する→新しい細胞に入れ替わるといったサイクルは遺伝子によってコントロールされているため、本来なら異常な細胞が増殖する前に、抑制や排除の機能がはたらきます。
なお、同じ異常細胞でも、浸潤や転移を行わず、周辺の組織を押しのけるようにして増えていくものは良性腫瘍といいます。
良性腫瘍も細胞の種類や腫瘍の大きさ、できた場所によっては何らかの症状が出る場合がありますが、手術で完全に除去できれば、悪性腫瘍のように再発するリスクがないところが大きな違いです。[注3]
[注3]
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がん情報サービス「がんという病気について」
がんは防げない病気なの?
がんは生活習慣と密接な関係があり、喫煙や過度な飲酒、乱れた食生活、運動不足などの要因が重なると、がんに罹患する確率が高くなる傾向にあります。
そのため、日々の生活で禁煙や節酒、食生活の改善、適度な運動などを心がければ、がんの罹患リスクを低減することは可能です。
ただし、100%防げる病気ではないため、たとえ規則正しい生活を送っていたとしても、がんになる確率をゼロにすることはできません。
もちろん、生活習慣の見直しや改善は必要ですが、「自分は大丈夫」と過信せず、いざという時の備えを確保しておくことも大切です。
がんと密接な関係がある生活習慣病の予防について、くわしくはこちらを参考にしてください。
がんの種類
がんは、がんが発生した細胞の種類によって「固形がん」と「血液がん」の2つに分類されます。
ここでは、固形がんと血液がんについて、がんが発生する細胞や、主ながんの例、特徴をまとめました。
固形がん
固形がんは、がんが発生する細胞によってさらに「癌腫」と「肉腫」の2つに分類されます。
癌腫とは、体の表面や消化管および気道などの内側、臓器などを覆う「上皮細胞」に発生するがんのことです。[注4]
肺がんや胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がんなどは癌腫のひとつに数えられます。
一方の肉腫は、上皮細胞以外に発生するがんのことです。
具体的には骨や筋肉などを作る細胞にできるがんで、骨肉腫や軟骨肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫などが代表的な例として挙げられます。
これらの固形がんは、浸潤や転移が見られたり、かたまりで増えたりする特徴があります。
[注4]がん情報サービス「がんという病気について」
血液がん
血液がんは、名前の通り、血管や骨髄、リンパ節の中にある細胞(白血球など)に発生するがんのことです。
一例として、白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫などがあります。
固形がんとは異なり、かたまりを作らずに増えるところが特徴ですが、例外として悪性リンパ腫ではかたまりが発生し、リンパ節の腫れなどを引き起こします。
がんの治療法
がんの治療は、がんの種類や症状の進行度によって異なり、その方法は多岐にわたります。
そのため、がんの治療を開始するにあたっては担当医と相談しながら治療法を決めることになりますが、注意したいのは公的医療保険の対象になる治療と、ならない治療があることです。
がん治療のうち、手術代や検査代、薬代などの治療費は公的医療保険の対象となるため、患者の自己負担割合は1割〜3割で済みます。
また、公的医療保険が適用される医療費は高額療養費制度の対象となり、ひと月あたりの医療費が一定額を超えると、オーバーした分は還付または窓口での支払いを免除されます。
一方で、最新の治療や、新しい薬・医療機器を使った治療、先進医療(公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある、高度な医療技術を用いた治療や手術)にかかる費用は、公的医療保険や高額療養費制度の適用対象外となり、給付や保障を受けることができません。
公的医療保険の対象となる治療と、先進医療を組み合わせて治療を受けることは可能ですが、先進医療に係る費用は全額自己負担となるので注意が必要です。
先進医療に係る費用は、選択した治療の方法・内容によって異なるので一概にいえませんが、がん治療に用いられる陽子線治療や重粒子線治療の相場は1件につき250万円〜300万円程度とされています。[注5]
先進医療そのものは、有効性や安全性が一定基準を満たしており、がん治療の有用な選択肢のひとつとなります。
がん治療のニーズは人によって異なりますが、万一の時は先進医療による治療も選択肢に入れられるよう、必要な保障を確保しておくことをおすすめします。
たとえば、民間の保険会社が販売しているがん保険は、がんと診断されたときや、がんで入院・手術したときに、あらかじめ決められた額の給付金が支払われる商品が多いです。
また、先進医療特約付きの保険なら、公的医療保険でカバーできない先進医療を受けた場合に、先進医療における技術料相当額の給付を受けることができますので、経済的な負担を気にせずにがんの治療法を選択できるようになります。
がん保険・がん特約の保障内容は商品によって異なりますので、自分に必要なニーズを考えたうえで最適な保険を選びましょう。
[注5] 厚生労働省「令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」