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出産育児一時金とは?
制度の内容や申請方法、支給額などを徹底解説!

これから妊娠・出産を控えている女性にぜひ知っておいてもらいたいのが「出産育児一時金」の存在です。
出産育児一時金を受け取れば、高額になりがちな出産費用をカバーし、自己負担額を減らすことができます。

この記事では、出産育児一時金の概要や受け取れる金額をご紹介すると共に、申請に必要なものや、申請の方法について解説します。

出産育児一時金とはどのような制度?

出産育児一時金とは、子どもを出産したときに加入している公的医療保険制度から受け取ることができる一時金のことです。

基本的に、出産は病気・ケガには含まれないため、健康保険の適用対象外となり、分娩費用や、出産にともなう入院費などは全額自己負担になってしまいます。

出産にかかる費用は医療機関によって異なりますが、厚生労働省が発表している「出産育児一時金について」によると、令和元年度の出産費用状況は以下の通りになっています。

出産費用状況

国公立病院などの公的病院では約44万円、私立大学病院や個人病院などの私的病院では約48万円、助産所を含む診療所では約46万円(いずれも平均値)となっており、出産にともなう入院・分娩だけで大きな出費になることがわかります。[注1]

そこで国では、出産にかかる費用負担を軽減するため、出産した女性に対して出産育児一時金を支給することを健康保険法等にて定めています。

加入する公的医療保険は人によって異なりますが、出産育児一時金は法令によって定められた制度ですので、どの健康保険に加入していても受け取ることが可能です。

[注1]厚生労働省「出産育児一時金について」

出産育児一時金ではいくら受け取れる?

出産育児一時金について定めた健康保険法第101条では、出産育児一時金の支給額について「政令で定める金額を支給する」とあります。[注2]

そのため、国保に加入している方も、協会けんぽや組合健保などに加入している方も、分娩の際に受け取れる出産育児一時金の額は原則として一律となります。

出産育児一時金の支給額は、全国の公的病院における平均的な出産費用の状況などを踏まえて随時見直されてきた経緯があり、制度がスタートした当初の支給額は30万円でしたが、その後、計4回にわたる改定を経て、令和3年12月現在では原則42万円(産科医療補償制度未加入の医療機関等で出産した場合は40.4万円)となっています。[注3]

[注2]厚生労働省「健康保険法」
[注3]厚生労働省「出産育児一時金について」

出産育児一時金の対象者

出産育児一時金の支給対象となるのは、妊娠4ヵ月(85日)以上で出産をした公的医療保険の被保険者および被扶養者です。[注4]

妊娠4ヵ月を過ぎていれば、早産や死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)などで出産に至らなかった場合でも、出産一時金の支給対象となります。

また、分娩の種類による区別もなく、自然分娩・帝王切開による出産のいずれでも一時金を受け取ることが可能です。

[注4]全国健康保険協会(協会けんぽ)「子どもが生まれたとき」

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出産育児一時金の申請に必要なものや申請の方法を知っておこう

出産育児一時金の申請のイメージ

出産育児一時金の申請方法は、一時金を受け取る方法によって異なります。

ここでは、出産育児一時金の申請に必要なものや申請の方法を、一時金の受け取り方ごとにご紹介します。

直接支払制度を利用する場合

直接支払制度とは、被保険者を介さず、加入している公的医療保険(以下、保険者)から、直接出産した医療機関に出産育児一時金が支払われる制度のことです。

この方法を利用した場合、出産費用が42万円を超えていなければ、窓口負担をゼロにすることができます

申請に必要なものは保険証のみ(退職後の方は資格喪失証明書も必要)で、医療機関から手渡される直接支払制度に関する書類(支払業務委託契約書等)にサインをすれば、申請手続きは完了です。

なお、出産費用が42万円に満たない場合は、保険者に対して差額分の支給申請を行う必要があります。

その場合、専用の申請書に出産費用の内訳を記した領収・明細書の写しを添付し、保険者に提出します。

受取代理制度を利用する場合

受取代理制度とは、本来なら被保険者が受け取るべき出産育児一時金を、医療機関が代理で受け取る制度のことです。

直接支払制度を導入していない小規模な医療機関などを利用する場合の救済措置で、被保険者が同意すれば、医療機関が本人に代わって出産育児一時金を受け取り、出産費用の支払いに充てることができます

受取代理制度を利用する場合は出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)を出産予定日の1ヵ月前を目処に保険者の事業所に提出する必要があります。

なお、出産費用が42万円に満たなかった分の差額請求の手続きについては、直接支払制度と同様です。

事後申請する場合

直接支払制度や受取代理制度を利用しない場合、出産後に保険者に対して出産育児一時金の事後申請を行うことになります。

手続きには、保険者が指定する専用の申請用紙のほか、医療機関との合意書(直接・受取代理制度を利用していない旨)、出産費用の内訳が記載された明細書などを準備し、加入する健康保険組合や各市町村役所に提出します。

事後申請では窓口で一時的に出産費用を自己負担しなければならないため、まとまった費用を準備する必要があります

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もっと知りたい!出産育児一時金について

出産一時金のイメージ

出産育児一時金について、よくある質問を2つピックアップしてご紹介します。

Q1.出産育児一時金と出産手当金の違いは?

A.支給対象者、支給金額、手続きに必要なものに違いがあります

出産手当金とは、被保険者が出産のために休職した間、給与の支払いを受けなかった場合に支給される手当金のことです。

出産育児一時金は出産をした被保険者・被扶養者に一律支給されるものですが、出産手当金はその性質上、会社で加入する健康保険(協会健保や健保組合など)の被保険者だけが支給対象となります。

出産手当金の額は、支給開始日以前の標準報酬月額をもとに算出するため、受け取れる金額も人によって大きく変化します。

具体的な出産手当金の額の計算式は以下の通りです。[注5]

出産手当金の額の計算式

出産手当金の支給対象となる期間は、出産日以前42日(双子以上の多胎出産の場合は出産日以前98日)から、出産の翌日以後56日までの範囲で、会社を休んだ日数分です。

出産手当金を受け取るためには、会社または保険者に対し、所定の申請書を提出して手続きを行います。

なお、保険者に申請書を提出する場合は、勤務実態や給与について記載した証明書を勤務先に発行してもらい、添付する必要があります。

[注5]全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産で会社を休んだとき」

Q2.会社を退職後に出産した場合、出産育児一時金はどうやって受け取ればいい?

A.在職時の健康保険、夫が加入する健康保険、自身が加入する国民健康保険のいずれかに申請します

出産育児一時金の申請先は原則として出産時に加入している公的医療保険となりますが、会社員として働いていた女性が退職後に出産した場合、以下の要件をすべて満たせば、会社員の頃に加入していた公的医療保険から資格喪失後の給付として、出産育児一時金を受け取ることができます。[注6]

・妊娠4ヵ月(85日)以上の出産であること
・資格喪失日の前日(退職日)までに継続して1年以上被保険者期間があること(任意継続被保険者期間は除く)
・資格喪失後(退職日の翌日)から6ヵ月以内の出産であること

なお、資格喪失後の給付を受けられるのは被保険者本人のみで、被扶養者だった家族の出産は対象外となるので注意が必要です。

一方、退職後にサラリーマンの夫の被扶養者として健康保険に加入した場合は、夫が加入する健康保険の保険者から出産育児一時金を受け取ることができます。

直接支払・受取代理制度を利用した場合の手続きは基本的に同じですが、事後申請する場合は被保険者である夫が所定の書類を用意し、保険者に提出する必要があります。

夫が自営業者の場合や、退職後に起業して一定の収入を得ている女性の場合は、自身が加入する国民健康保険から出産育児一時金を受け取ります。

直接支払制度や受取代理制度の場合の手続きは、会社員の場合などと同じですが、事後申請の場合は自ら市町村役場に出向いて申請手続きを行うことになります。

[注6]全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産育児一時金について」

まとめ

産後は、育児用品の準備などで生活費がかさみますので、出産育児一時金や出産手当金などの公的制度を上手に活用し、出産にかかる費用の負担を抑えることが大切です。

事後申請を行う方で、窓口での一時的な負担がきつい場合は、出産育児一時金の支給見込額の8割相当額(33万6,000円)を限度とするお金を無利子で借りられる出産費貸付制度もありますので、必要に応じて利用を検討しましょう。[注7]

また、妊娠・出産による体調不良が心配な方は、ママ向けの出産保険への加入もおすすめです。

「スマ保険」の出産保険は、所定の妊娠うつや産後うつに対して最高5万円、がんなどの三大疾病に罹患した場合は最高100万円の給付金を受け取れます。

保険料は月々1,000円からとリーズナブルで、かつ妊娠21週までなら加入可能ですので、妊娠が判明したら産前産後の「もしも」に備えられる「スマ保険」の出産保険をぜひご検討ください。

[注7]全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産費貸付制度」

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