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認知症

「アミロイドβ」とは?
アルツハイマー型認知症の発症に関係するって本当?

認知症の原因にはさまざまな仮説がありますが、現在主流となっているのが「脳でつくられるたんぱく質“アミロイドβ(ベータ)ペプチド(以下、「アミロイドβ」と記載します)“が、アルツハイマー型認知症の発症に関係する」という説です。アミロイドβとは何か、そして認知症を引き起こすメカニズムとは。

この記事では、世界が注目するアミロイドβと認知症の関係についてご紹介します

アミロイドβとは?

アミロイドβとは、脳内で作られるたんぱく質の一種です。健康な人の脳にも存在する物質で、通常は脳内のゴミとして短期間で分解、排出されます。しかし、アミロイドβ同士がくっついて異常なアミロイドβができると、排出されずに脳に蓄積され、健康な神経細胞にアミロイドβがまとわりつきます。そしてアミロイドβの出す毒素で神経細胞が死滅して情報の伝達ができなくなり、徐々に脳が委縮。その結果、アルツハイマー型認知症が進行していくことになります。

アミロイドβが脳に溜まると、「老人斑」と呼ばれる染みができることが分かっています。かつては脳に溜まったアミロイドβを確認することは困難でしたが、現在ではアミロイドPET(アミロイドイメージング)という検査により、画像診断で脳内のアミロイドβの蓄積量が分かるようになりました。なおアミロイドPETは、健康保険の適用外のため自費診療となります。希望する場合は、事前に病院や健康センターなどに連絡をして、検査方法や費用の説明を受けましょう。

アミロイドβが溜まる原因とは?

アミロイドβの蓄積は認知症を発症する十数年前から起こると言われていますが、蓄積が起こる原因は大きく分けて2つあります。

1つ目は運動不足です。運動をすることによってアミロイドβの蓄積が少なくなることが研究で明らかにされています。[注1]

逆に、日頃から運動不足の方はアミロイドβが蓄積しやすい状態にあると考えられます。

2つ目は、認知的活動の減少です。日頃から考える・記憶する・判断するといった認知機能の活用を怠っていると、アミロイドβが蓄積し、認知機能の低下につながる可能性があります。
ある実験では、刺激の多い環境で飼育したラットと、単調で刺激の少ない環境で飼育したラットを比較した結果、前者のラットの方がアミロイドβの蓄積が少なかったことが報告されています。[注1]

[注1]厚生労働省「認知症予防・支援マニュアル(改訂版)」(平成21年)

認知症とアミロイドβの関係

認知症の原因については複数の仮説があり、はっきりした原因は分かっていません。そんな中、「脳に蓄積したアミロイドβの毒性で神経細胞が死滅して脳が委縮し、認知症を発症する」という「アミロイドβ仮説」は、2010年に提唱されて以来、最も有力な説として注目を集めました。今日におけるアルツハイマー型認知症の新薬開発においても、このアミロイドβ仮説が主流となっています。
今後開発される新薬などによって、沈着したアミロイドβの排出を促進できれば、認知症を改善する効果が期待できます。

また、他にもアルツハイマー型認知症の原因として「神経原線維変化」という現象があげられます。これは健康な神経細胞にタウたんぱくという物質が絡み合って起こるもので、アミロイドβ同様、不要な物質が溜まることで神経細胞の働きを悪くし、死滅させます。

このように、アミロイドβや神経原線維変化によって神経細胞が次々に死滅して正常に働かなくなると、脳が萎縮します。これが認知症のメカニズムといわれています。

アミロイドβと今後への期待

脳内で作られるアミロイドβは、アルツハイマー型認知症の発症に関係するとして、大きな注目を集めている物質です。アルツハイマー型認知症における薬物療法は、できるだけ症状を軽くし、進行を遅らせることが目的となっています。もし将来アミロイドβの蓄積を阻害する治療薬が開発されれば、アルツハイマー型認知症の進行を完全にストップできる可能性もあります。高齢化社会が進む中で認知症を治す薬につなげられるのか、今後もアミロイドβのさらなる研究が期待されています。

しかし、現在、完全な認知症治療薬の開発を目指して世界中で研究が進められていますが、なかなか実用化には至っていません。今できることとして、認知症になる前から生活習慣を見直し、認知症予防へとつなげましょう。

生活習慣を見直して認知症を予防しよう

アルツハイマー型認知症の発症には、生活習慣が影響するといわれています。例えば、高血圧・肥満・糖尿病といった生活習慣病や、偏った食事、過度の飲酒、喫煙、運動不足、睡眠不足などです。

特に質のよい睡眠を取ることは、脳の働きを保つためにとても大切です。睡眠時間を十分に取るだけでなく、寝る前はカフェインの入った飲み物は控える、部屋を暗くする、パソコンやスマートフォンなどの明るい画面を見ないようにするなど、質のよい睡眠を取るための環境を整えましょう。朝すっきりと起きれば、一日の生活リズムも整えやすくなります。

また生活習慣病を予防するには、食事と運動が重要です。食事は1日3食規則正しく、バランスのよいメニューを心がけます。運動はなかなか時間が取れない、という方もいらっしゃるでしょう。しかし、わざわざ運動のための時間を取らなくとも、駅で階段を使う、テレビを見ながらストレッチするなど、日々の隙間時間を使ってできることはたくさんあります。無理のない程度で、できることから始めてみましょう。

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