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基礎知識

介護保険制度とは?
仕組みや保険料などの基礎知識を知っておこう!

日本には、高齢者など介護を必要とする方を社会全体で支えることを目的とした「介護保険制度」があります。
40歳になると誰もが介護保険制度に加入することになりますが、そもそもどんな制度なのか、どんな人がどのようなサービスを受けられるのかわからないという方は少なくありません。
いざという時にきちんと必要なサービスを受けられるよう、今のうちから介護保険制度の基礎知識をしっかり押さえておきましょう。

この記事では、介護保険制度の基礎知識や対象者、保険料、介護保険サービスの内容について解説します。

介護保険制度とは?

介護保険制度とは、1997年に成立し、2000年に施行された介護保険法に基づく制度のことです。
日本の総人口のうち、65歳以上の高齢者が占める割合は28.8%と約3割に上っており、高齢化が年々進んでいます。[注1]

高齢化の進展にともなって要介護者も増加傾向にあるほか、介護期間そのものも長期化しており、家族単位で高齢者の介護を担うのは限界があります。

こうした社会的背景を鑑み、今後も増え続ける高齢介護者を社会全体で支え合う介護保険制度が創設されました。

介護保険の被保険者は、要介護者と認定されて所定の介護サービスを受けた際、サービスを提供する事業者に払うお金(介護報酬)の7〜9割(所得によって異なる)を保障してもらうことができます

介護保険制度では、単に介護者の身の回りのお世話をするというだけでなく、高齢者の自立を支援すると共に、利用者が多様な保健医療サービスや福祉サービスの中から自分に合ったサービスを選択できる仕組みや、給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用しており、いざという時に誰もが公平な介護サービスを受けられる制度となっています。

なお、介護保険制度は40歳以上になったすべての方が加入し、健康保険料に上乗せする形で介護保険料を負担する仕組みになっています。[注2]

[注1]内閣府「令和3年版高齢社会白書 第1章 高齢化の状況」
[注2]人事院「6 定年後の社会保険制度」

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介護保険制度はどんな人が対象?

介護保険制度を利用して介護サービスを受けるには、以下2つのうち、いずれかの状態になったと認定される必要があります。

●寝たきりや認知症などで常時介護を必要とする状態(要介護状態)
●家事や身支度などの日常生活に支援が必要となった状態(要支援状態)

要介護状態または要支援状態にあるかどうかは、各市町村に在籍する認定調査員や、保健・医療・福祉の学識経験者によって構成される介護認定審査会が、全国一律の基準に基づいて介護の必要量を客観的に判定します。

そのため、介護保険制度を利用して介護サービスを受けようと思ったら、まずお住まいの市区町村窓口に相談し、認定調査を受ける必要があります

認定調査を受けると、介護の必要量に応じて「要支援1〜2」「要介護1〜5」の計7段階に区分されますが、それぞれの身体状態の目安は以下の通りです。[注3]

要介護度と身体の状態

どの区分に該当するかによって月々の支給限度額に違いがあるため、限度内で介護サービスを受けたい場合は、ケアマネジャーなどに相談して適切なケアプランを作成してもらう必要があります。

[注3]公益財団法人 生命保険文化センター「公的介護保険で受けられるサービスの内容は?」

介護保険料っていくら?減額制度も紹介

介護保険料と減額制度のイメージ

介護保険料は、国や都道府県、市町村などの税金から50%、残りの50%を被保険者がそれぞれ負担する仕組みになっています。[注4]

介護保険制度の被保険者は、65歳以上の方が加入する第1号被保険者と、40〜64歳までの方が加入する第2号被保険者に区分されますが、それぞれ負担する介護保険料の計算方法に違いがあります。

[注4]厚生労働省「介護保険制度の概要」

第1号被保険者の介護保険料の計算方法

65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は、65歳以上の方ひとりあたりの平均保険料である「基準額」に、所得に応じて区分された段階ごとに決められた割合をかけて計算します。

介護保険は原則として3年に1度見直される仕組みになっていますが、第8期にあたる令和3年度〜令和5年度の全国の平均保険料基準額は6,014円です。[注5]

保険料基準額は、被保険者数やどの程度の介護サービスが必要かによって算出するため、地域によって差が生じます。

たとえば東京の第8期保険料基準額は6,080円となっており、平均額より66円高くなっています。

また、所得に応じた区分や、乗じる割合も自治体が独自に定めています。

たとえば東京都北区の場合、所得段階を16に分け、保険料率は0.30〜3.50が適用されています。[注6]

[注5]厚生労働省「第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について」
[注6]北区「介護保険料の決め方」

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第2号被保険者の介護保険料の計算方法

40歳〜64歳までの第2号被保険者のうち、会社の健康保険に加入している方は、標準報酬月額に介護保険料率を乗じて介護保険料を算出します。
介護保険料率は毎年見直されるほか、加入する健康保険によって異なるので、一概にいくらとは言えません。

たとえば、全国健康保険協会(協会けんぽ)の令和3年3月分からの介護保険料率は1.80%です。[注7]

仮に標準報酬月額が24万円だった場合、24万円×1.80%=4,320円が介護保険料となります。
なお、会社で加入する健康保険の保険料は事業主と折半しますので、実際に被保険者が負担するのは半額の2,160円となります。

一方、国民健康保険に加入している方の介護保険料は、前年の所得と人数などに応じて、世帯単位で決まります。組み合わせや、金額、割合などは各市町村が決めるため、自治体によって異なります。

[注7]全国健康保険協会(協会けんぽ)「協会けんぽの介護保険料率について」

介護保険料の納付方法

介護保険料の納付方法は、第1号被保険者と第2号被保険者で異なります。
第1号被保険者の方は、受給する年金額(老齢・遺族・障害年金を含む)によって、年金から天引きされる場合と、金融機関やコンビニでの納付書払い、口座振替して納付する場合にわかれます。

一方、第2号被保険者の方は、加入する公的医療保険(国民健康保険・会社の健康保険)の保険料と合わせて、保険者に納付します。

保険料の支払いが難しい場合は減額制度を利用できる

退職などによって収入が著しく減少した、あるいは災害によって財産に多大な損害を受けたことにより、介護保険料の支払いが難しくなった場合、自治体が定めた減額制度を利用することができます

要件に該当する場合、介護保険料の一部または全部の支払いが免除されますので、何らかの理由で生活が苦しく、保険料の支払いが難しい場合は、お住まいの自治体に相談の上、減額・免除の申請を行ってみましょう。

介護保険サービスってどんなもの?

介護保険サービスのイメージ

介護保険を利用して受けられる介護保険サービスは、大きく分けて「介護予防サービス」と「介護サービス」の2種類があります。

介護予防サービスとは、要支援1および2の方が受けるサービスで、要介護状態に陥ったり、状態を悪化させたりすることなく、生活機能の維持向上や改善を図ることを目的としたものです。

介護予防サービスの主な内容には以下のようなものがあります。[注8]

●介護予防訪問入浴介護
●介護予防訪問看護
●介護予防訪問リハビリテーション
●介護予防居宅療養管理指導
●介護予防特定施設入居者生活介護
●介護予防福祉用具貸与
●特定介護予防福祉用具販売
●介護予防通所リハビリテーション
●介護予防短期入所生活介護
●介護予防短期入所療養介護

介護予防サービスの一例を挙げると、たとえば介護予防訪問入浴介護では、自宅に簡易浴槽を持ち込んでもらい、入浴の介助を受けられます。

また、介護予防特定施設入居者生活介護では、介護付有料老人ホーム、養護老人ホームなどの施設に入居している場合に、入浴や排泄、食事などの介助、日常生活上の支援を受けられます。

一方の介護サービスは、要介護1〜5の方が受けられるサービスのことです。

介護サービスは、自宅にいながら利用できる「居宅介護サービス」と、施設に入居して利用する「施設サービス」の2種類に分かれており、以下のようなサービスがあります。[注8]

居宅介護サービスと施設サービスのサービス内容

デイサービスと呼ばれる通所介護は、施設で機能訓練を行ったり、他者とコミュニケーションを取ったりすることで、身体機能の維持・向上を目指すサービスのことです。

居宅での介護サービスが難しい場合は、施設に入居して介護サービスを受けることになりますが、施設ごとに対象者や設置団体、サービスの内容などに違いがあります。

たとえば、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は原則として65歳以上、要介護1以上の方を対象にした施設で、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においても常時の介護を受けることが困難な方のみ入居することができます[注9]

一方、介護老人保健施設は原則として65歳以上、要介護1以上の方を対象にした施設で、病院での治療を終えた方に対してリハビリなどを提供し、在宅復帰を目指すことを目的としています[注10]

そのため、比較的短期間での退去を前提とした入居となり、長期にわたって入居することを前提としている介護老人福祉施設とは主旨が大きく異なります。

このように、同じ施設サービスでも対象者やサービスに違いがあるため、サービスを受ける方の介護の度合いやニーズに合わせて施設を選ぶ必要があります。

[注8]厚生労働省「介護保険制度の概要」
[注9]厚生労働省「高齢者の住まい」
[注10]厚生労働省「介護老人保健施設」

まとめ

高齢になると、体の自由がだんだん利かなくなり、日常生活で不便を強いられることもあります。

実際に生活で不便を感じるようになってから、必要なサービスを探すのは手間と時間がかかりますので、あらかじめ介護保険サービスの種類や内容を知っておくと安心でしょう。

脳血管疾患や骨折・転倒など、突然の病気やけがに備えて、民間の保険への加入も検討しておくとよいでしょう。将来のお金の不安に対し、きっと備えになるはずです。

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