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基礎知識

年末調整で保険料控除を受けよう!
制度の概要や計算方法などを徹底解説

給与所得のある会社員は、原則(※)年末調整で保険料控除の申告を行えば、支払った税金の還付を受けられる可能性があります。

保険料控除を受けるには、所定の手続きを行う必要がありますので、制度の概要や計算方法などをあらかじめ確認しておきましょう。

この記事では、年末調整で保険料控除を受ける方法や、必要な書類、手続き上の注意点について解説します。
(※)年収2,000万円を超える会社員などは確定申告の必要があり、年末調整は行われない

目次

生命保険料控除ってどんな制度?

会社員の方は、毎月の給与から、その年にかかる予定の所得税や住民税が源泉徴収されています。

源泉徴収額は毎月の標準報酬月額をもとに算出されますが、あくまで概算であり、途中で給与額に変更が生じたり、個人的に生命保険料などを支払ったりして所得控除を受けられる場合は、本来納めるべき税金と源泉徴収額との間にズレが生じることがあります。

そこで1年間に支払う給与額が決まる12月に、支払うべき税金の額を再計算し、すでに源泉徴収された金額と照らし合わせて過不足分を調整する必要があります。会社が行うこの調整を「年末調整」といいます。

年末調整で適用される控除にはさまざまな種類がありますが、今回は生命保険料控除について説明します。

生命保険料控除とは、納税者が生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に受けられる所得控除のことです。

1年間に支払った保険料の額に応じて、一定額を所得控除として、給与所得など所得から控除し、課税所得金額を算出します。

所得税や住民税は、課税所得金額に所定の税率をかけて計算するので、生命保険料控除を適用することによって課税所得金額が減れば、税金の節約につながります

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生命保険料控除の取り扱いは新契約・旧契約で異なる

生命保険料控除は昔からある制度ですが、2012年に実施された税制改正にともない、控除区分や控除上限額などが変更されました。[注1]

ただし、2011年12月31日までに適用されていた制度がなくなるわけではなく、2012年1月1日以降に契約した生命保険には新制度を、2011年12月31日以前に契約した生命保険には旧制度が適用される仕組みになっています。

旧制度においては、控除区分が次の2項目に分けられ、それぞれ最高5万円までの控除が適用されていました。
・一般生命保険料控除(旧生命保険料控除):遺族保障・介護保障・医療保障等が対象
・個人年金保険料控除(旧個人年金保険料控除):老後保障等が対象

一方、新制度では「介護医療保険料控除」が新設されました。また、控除区分は次の3項目に変更され、1区分あたりの最高控除額は4万円となりました。
・新生命保険料控除:遺族保障等が対象
・介護医療保険料控除:介護保障・医療保障等が対象
・新個人年金保険料控除:老後保障等が対象

1区分あたりの最高控除額は4万円なので、新生命保険料控除と新個人年金保険料については旧契約よりも控除限度額が1万円ずつ減少していますが、介護医療保険料控除が新設されたことにより、トータルの適用限度額は10万円から12万円と2万円の増額になっています

新制度と旧制度のどちらが適用されるかは契約年月日によって異なりますが、旧契約の生命保険を2012年1月1日以降に更新・転換したり、特約を中途付加したりした場合は、それ以後、新制度が適用されることになります。

[注1]国税庁「生命保険料控除」

生命保険料控除の計算方法

生命保険料控除の計算方法のイメージ

生命保険料控除によって差し引かれる金額の計算方法は、新契約・旧契約によって異なるほか、年間払込保険料によっても異なります。

以下では、生命保険料控除の計算方法を新旧の契約ごとに表でまとめました。[注2]

新契約の生命保険料控除額の計算方法
旧契約の生命保険料控除額の計算方法

新制度適用の場合は、控除区分1つにつき所得税は最高4万円、住民税は最高2万8,000円の控除を受けられます

一方、旧制度適用の場合は、控除区分1つにつき所得税は最高5万円、住民税は最高3万5,000円の控除を受けることができます

新制度は3区分、旧制度は2区分ありますので、3区分すべての保険に加入していれば、それぞれの種類ごとに保険料控除が適用されます。

ただし、新旧制度ともにそれぞれの控除限度額が決まっており、新制度は所得税12万円、住民税7万円まで。旧制度は所得税10万円、住民税7万円までが適用限度額となります。

特に新契約の場合、1種類受けた場合の住民税の控除限度額は2万8,000円ですが、3種類受けた場合、単純に3倍になるのではなく、7万円が限度額となる点に注意が必要です。

また、新旧制度全体の適用限度額は所得税12万円、住民税7万円となります。

[注2]国税庁「生命保険料控除」

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生命保険料控除を受けるために必要な書類

生命保険料控除を受けるために必要な書類は2つあります。

1つ目は、「給与所得者の保険料控除申告書」です。

給与支払者(会社)の名称・所在地、給与所得者(社員)の氏名と住所を記載し、生命保険料控除の欄に以下の情報を記載します。

@保険会社等の名称
A保険等の種類
B保険期間又は年金支払期間
C保険等の契約者の氏名
D保険金等の受取人(氏名・続柄)
E新・旧の区分
F本年中に支払った保険料等の金額
G新・旧保険料等の金額の合計額
H控除額
なお、申告書に控除額を導き出す計算式が載っており、Gの保険料等の金額までわかれば、Hは自分で簡単に計算、記載できるようになっています。

給与所得者の保険料控除申告書は、勤務先から渡されるのが一般的ですが、税務署の窓口でもらう、または国税庁のHPからダウンロードして使用することもできます。

2つ目は、給与所得者の保険料控除申告書に添付する「生命保険料控除証明書」です。

生命保険料控除証明書は毎年10月頃に生命保険会社から郵送される書類で、そこに記載されている金額をもとに、保険料控除申告書に必要事項を記載します。

この2つの書類を勤務先に提出すれば、年末調整で生命保険料控除を受けることができます。なお、勤務先の団体保険などで給与天引きにより保険料を払い込んでいる場合は、控除証明書の添付は不要です。

年末調整で保険料控除を受けるときの注意点

保険料控除を受けるときの注意点のイメージ

年末調整で保険料控除を受ける際に注意したいポイントを4つご紹介します。

1.生命保険料控除の対象外になる保険もある

生命保険料控除は、すべての生命保険に適用されるわけではなく、一部適用対象外になる保険があります。

たとえば、保険期間が5年未満の貯蓄型の保険や、財形保険、団体信用生命保険などは生命保険料控除の対象になりません。

また、身体の傷害のみに基づいて保険金が支払われる傷害特約なども、生命保険料控除の対象外となります。[注3]

そのほか、保険料払込期間や年金受取期間が10年未満の個人年金保険や変額個人年金保険は、個人年金保険料控除ではなく一般生命保険料控除の対象になるなど、注意が必要です。

生命保険料控除の対象となる保険契約については国税庁のHPに要件が掲載されていますので、事前に確認しておきましょう。

[注3]公益財団法人 生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる『生命保険料控除』」

2.保険料控除の申告を忘れたらどうなる?

勤務先への年末調整の書類提出期限を過ぎてしまった場合、年末調整のタイミングで生命保険料控除を受けることはできませんが、翌年2月16日〜3月15日の間に確定申告をすれば、生命保険料控除を受けることが可能です。

確定申告する場合、確定申告書に収入金額や所得金額、控除額などの必要事項を記載し、生命保険料控除証明書を添付して所轄の税務署に提出して手続きを行いましょう。控除証明書を電子交付された場合には、e-Taxで申告する際に電子データを添付送信することも可能です。

3.控除証明書を紛失した場合はどうなる?

生命保険料控除証明書は年末調整を行う2ヵ月ほど前に郵送されてくるため、いざ手続きしようとしたら書類が見当たらない…というトラブルが起こることもあります。

そんなときは、生命保険会社に書類の再発行を依頼しましょう。

窓口であれば即日発行可能ですが、郵送の場合は書類が届くまでに数日かかりますので、余裕をもって再発行することをおすすめします。

4.転職した場合の年末調整は?

年末調整は原則としてその時期に勤務している企業で手続きが行われるため、年度途中で転職した場合、年末調整は新しい勤務先で行うことになります

その際、前の職場が発行する「給与所得の源泉徴収票」が必要になりますので、退職の際に忘れず発行してもらうようにしましょう。

一方、年内に再就職しなかった場合は、個人で確定申告を行う必要があります。

その場合も退職した職場が発行する「給与所得の源泉徴収票」をもとに確定申告書を作成することになります。

まとめ

生命保険に加入している会社員や公務員は、年末調整の時に申告することで生命保険料控除の適用を受けられます。年末調整の対象外となる年収2,000万円超の会社員や公務員、もしくは生命保険料控除の申告を忘れた場合は、確定申告することで適用を受けられます。

生命保険料控除が適用されて課税所得金額が下がった場合、納めた税金の還付を受けられますので、条件に該当する方は忘れずに手続きを行いましょう。

ただ、年末調整が行われるのは年に1回きりですので、いざ手続きしようと思ったとき、計算方法や書き方を忘れてしまうこともあります。

生命保険料控除の手続きを行ったことがない方にとっては、「大変そう」「難しそう」というイメージがあるかもしれませんが、焦らずにひとつひとつ確認しながら記入すれば、誰でも手続きを済ませることが可能です。

これまで生命保険料控除を受けた経験がない方も、この機会に控除の制度を知って、その内容や計算方法を理解しておくことをおすすめします。

また、生命保険(医療保険)をお探しの方は、日帰り入院から備えられる太陽生命のスマ保険「入院重点プラン」もあわせてご検討ください。

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