生理がこない、これって妊娠?生理がこない理由と対処法
生理は通常、一定周期で訪れるものですが、心身の状態によっては生理がこないこともあります。
生理がこない=妊娠とイメージしがちですが、生理がこない理由は他にもいくつか考えられますので、冷静な対処を心がけましょう。
この記事では、生理の仕組みと生理がこない理由、その対処法、妊娠初期症状と生理前症状との違いについて解説します。

生理の仕組みについて理解しよう
生理がこない理由について知る前に、まずは生理の基本的な仕組みについて理解しておきましょう。
生理(月経)周期とは
生理(月経)周期とは、生理の出血が始まってから次の生理が始まるまでのサイクルのことです。
生理周期には個人差がありますが、正常な生理(月経)の場合、25日〜38日で1サイクルとなり、3日〜7日間の出血が続くのが一般的です。[注1]
生理周期は月経期間のほか、卵胞期・排卵期・黄体期の計4つに区分されています。
卵胞期は、卵巣中にある卵子のもとになる原始卵胞が成熟する時期です。
成熟卵胞からは卵胞ホルモン「エストロゲン」が大量に分泌され、子宮内膜の厚みが増します。
排卵期は成熟卵胞から卵子が排出される時期で、この現象を「排卵」といいます。
28日周期の場合、生理初日を1日目と数えると、およそ14日前後で排卵が起こると言われています。
黄体期は排卵後の卵胞が黄体に変化する時期です。
黄体からは黄体ホルモン「プロゲステロン」が大量に分泌され、子宮内膜はより厚みを増し、妊娠に備えます。
妊娠しなかった場合、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量がともに低下し、子宮内膜が剥がれ落ちて血液と一緒に体外に排出されます。これが「生理(月経)」です。
[注1]働く女性の健康応援サイト「月経について」
生理不順とは
正常な生理は25日〜38日周期で訪れ、出血期間は3日〜7日間、経血量は20〜140mlと言われています。[注1]
個人差はありますが、上記の条件に該当しない場合は何らかの異常、つまり生理不順を引き起こしているおそれがあります。
以下に主な生理不順の種類をまとめましたので、異常がないかどうか確認してみましょう 。

生理がこないのはなぜ?妊娠以外に考えられる原因

前の項目でも説明した通り、生理がこない理由は妊娠だけでなく、生理不順や無月経である場合もあります。
こうした生理のトラブルが発生する原因はさまざまですが、場合によっては心身に異常を来しているサインである可能性もありますので、安易に自己判断しないようにしましょう。
妊娠以外の生理がこない主な理由
妊娠以外で生理がこない理由は主に6つあります。
過度なストレス
過度なストレスがかかると、エストロゲンやプロゲステロンのバランスが崩れることがあります。
生理周期にはこれら2つの女性ホルモンが密接に関係しているため、ストレスによるホルモンバランスの乱れが生理不順を引き起こす可能性があります。
過度なダイエット
ダイエットのために無理な摂食制限を行うと、卵巣に十分な栄養が行き渡らなくなります。
すると、脳が妊娠に耐えうる体ではないと判断し、生理がこなくなってしまう場合があります。
太りすぎ
肥満体型になると、卵巣年齢の高齢化が進む原因になるほか、排卵障害のリスクが上昇すると言われています。[注2]
特にBMI25以上、体脂肪率28%を超える場合は生理不順のリスクが上がりやすくなるので要注意です。
[注2]働く女性の健康応援サイト「体型について。やせすぎ、太りすぎのリスクと対策」
甲状腺の病気
20〜30代女性に多いバセドウ病や、更年期以降に多い橋本病といった甲状腺の病気にかかると、ホルモンバランスが乱れ、生理不順に繋がりやすくなります。[注3]
[注3]働く女性の健康応援サイト「甲状腺の病気」
早期閉経
40歳前に月経がなくなってしまうことを早期閉経といいます。
遺伝のほか、自己免疫疾患や代謝性疾患などさまざまな要因で起こると言われています。
薬の影響
精神安定剤や胃腸薬などを摂取すると、高プロラクチン血症による生理不順が起こりやすくなります。[注4]
薬の摂取を中止すれば元に戻りますが、治療中はプロラクチンを降下する薬の投与も行われます。
[注4]ヘルスケアラボ「月経不順・無月経」
妊娠初期症状と生理前症状の違い
ここまで妊娠以外で生理がこない理由をご紹介してきましたが、妊娠によって生理がこないのか、それ以外の理由なのかは、体に現れる症状からもある程度判断することが可能です。
なぜなら、妊娠初期症状と生理前症状には共通点が多い一方、いくつか異なる点もあるからです。
共通点としては、腹痛や下腹部痛、胸の張り、眠気、イライラなどがあり、これらの症状だけでは妊娠の初期症状なのか、生理前症状なのかを判断するのは困難です。
異なる点の代表的なものとしては、体温周期が挙げられます。
妊娠前かつ正常な状態では、生理周期によって体温の高低差があります。
月経から排卵期にかけては低温期が続き、排卵が起こってから黄体期までは高温期が続くのが一般的です。
一方、妊娠すると、通常なら12〜14日程度で終わる高温期がそのまま継続します。[注5]
16日以上経過しても高温期が続く場合は生理前症状ではなく、妊娠初期症状の可能性があります。
妊娠初期症状と判断される場合は、次の項目で紹介する「生理がこないときの対処法とは?」を参考に、市販の妊娠検査薬を購入して妊娠の有無を確認してみましょう。
詳しくは次の項目で説明します。
[注5]ヘルスケアラボ「基礎体温」
生理がこないときの対処法とは?

生理がこない理由は複数ありますが、心身の不調から生理不順になっているリスクもゼロではありません。
生理不順を放っておくと、女性ホルモンの分泌低下によって妊娠しにくくなる可能性があります。
また、生理不順がホルモンバランスの乱れや過度なストレスに起因している場合、他の不調を引き起こす要因にもなります。
体の変化にいち早く気付くためにも、日頃から基礎体温を計測し、自分の体の調子をしっかり把握しておくことが大切です。
基礎体温は一般的な体温計ではなく、専用の婦人科系体温計を用いて測定します。
計測するタイミングは起床直後で、体を動かさず、横になった状態のまま測りましょう。
基礎体温を測ったら基礎体温表に書き込み、つないでグラフにすると基礎体温の変化がわかりやすくなります。
最近では計測と同時に記録が残るデジタル婦人科系体温計も発売されていますので、記録漏れが不安な方は利用を検討してみましょう。
生理がこない場合の対処法について
生理がこない場合の対処法は大きく分けて2つあります。
まず1つ目は、妊娠検査薬の使用です。
特に基礎体温が16日以上高温のまま続いている場合は、妊娠している可能性があるので、市販の検査薬を使ってチェックしてみましょう。
妊娠していないにもかかわらず、生理がこない場合は何らかの原因で生理不順が起こっている可能性があります。
生活習慣の改善によって自然と元に戻る場合もありますが、生理不順は長引けば長引くほど治療にも時間がかかる傾向にあります。
そのため、2つ目の対処法として婦人科の受診が挙げられます。
妊娠検査薬で妊娠していないことがわかったら、次の対処法としてなるべく早めに婦人科を受診し、原因を突き止めて適切な治療を受けることをおすすめします。
まとめ
生理がこない理由は妊娠以外にも複数あります。
過度なストレスや太りすぎ、無理なダイエット、病気や薬などの影響を受けると、生理がこなくなったり、生理周期や出血量などに異常を来す原因になったりすることがあります。
放っておくと妊娠しにくい体になる可能性がありますので、妊娠以外で生理がこない場合は早めに病院を受診し、適切な検査と診断、治療を受けるようにしましょう。
生理がこない理由が妊娠だった場合も、早めに専門機関を受診し、医師に相談することが大切です。