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これってアトピー?ひどい乾燥肌を改善するためのスキンケア方法

空気が乾燥する時期はもちろん、一年を通して乾燥肌のスキンケアに悩まされる女性は決して少なくありません。

乾燥肌の人が適切なスキンケアをしないまま放置していると、肌荒れなどのトラブルを引き起こすことがあります。

なお、ただの乾燥肌だと思っていたらアトピー性皮膚炎だった…というケースも多いので、乾燥肌の原因やスキンケア方法を確認しておきましょう。

この記事では、乾燥肌とアトピー性皮膚炎の違いや、年代別のアトピー性皮膚炎の症状、主な原因、スキンケアの基本について解説します。

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乾燥肌とアトピー性皮膚炎の違いは?

乾燥肌とアトピー性皮膚炎の違い

アトピー性皮膚炎とは、アトピー素因のあるもの(気管支喘息、アトピー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎などの病歴または家族歴を持つもの)に生じる皮膚疾患のことです。
乾燥やかゆみ、湿潤(じゅくじゅく)、紅斑といった症状が悪化と改善を繰り返しながら慢性的に続くところが特徴です。
ここでいう慢性とは、乳児では2ヵ月以上、その他では6ヵ月以上症状が見られるものを指します。[注1]

一方、乾燥肌とは文字通り、肌が乾燥している状態のことです。
病名ではなく、あくまで肌の状態を示す言葉ですので、季節性の一時的な肌の乾燥も、アトピーによる乾燥も「乾燥肌」に含まれます。
ただ、一時的な乾燥肌とアトピー性皮膚炎では発症原因や改善方法、適したスキンケア方法が異なるため、単純に「乾燥肌」というときは一時的な乾燥肌を意味することが多いようです。

[注1]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p37、38

【年代別】アトピー性皮膚炎による症状

乳児期のアトピー性皮膚炎のイメージ
年代別アトピー性皮膚炎の発症部位と症状

上記のように、アトピー性皮膚炎は年代によって発症部位や症状に違いがあります。
ここではアトピー性皮膚炎の主な症状を年代別にご紹介します。

乳児期

乳児期は主に両頬や下あごにかゆみのある乾燥や紅斑(皮膚の赤み)、紅斑性丘疹(赤みを帯びたプツプツ)などがみられます。
初期症状は生後2ヵ月〜3ヵ月後に現れることが多く、しばらくすると同様の症状が頭部や耳のまわりにもみられるようになり、さらに背中や手足へと広がっていきます。[注2]

乳児期は自分で症状を訴えられないため、かゆみを感じたときにむずがったり、泣いたり、顔や体をこするような仕草を見せたりします。

[注2]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p41

幼児期

幼児期の症状は、乳児期の皮疹(ひしん)が治らないまま移行した場合と、幼児期に発症するものとで異なります。

前者の場合、浮腫性の赤みが拡大したり、掻破(かきむしり)による単調なびらんやかさぶたができたりします。
一方、幼児期に初めて発症した例では、首や肘の内側、膝の裏側、手首、足首などに乾燥肌の症状が発現します。
細菌やウイルスによる二次的な変化が生じやすいのも幼児期に発症する場合の特徴です。[注3]

[注3]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過_p41

成人期

大人のアトピー性皮膚炎は、乾燥肌や丘疹、強いかゆみのほか、皮膚が肥厚して硬くなる「苔癬化(たいせんか)」という症状が現れるのが一般的です。
顔面にも紅斑や赤ら顔のような症状が現れるようになります。その他、首にさざ波状の色素沈着が発現したり、眉毛の外側が抜けたり、下まぶた内側にひだが現れたりすることもあります。[注4]

皮膚症状が出る場所や特徴は年代によって大きく異なるため、アトピー性皮膚炎かどうか調べる際は、年齢による違いも考慮されます。

なお、アトピー性皮膚炎の合併症として、眼瞼炎や角結膜炎、虹彩炎、白内障、網膜剥離といった眼疾患を発症することもあります。

[注4]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p41

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎が発症、悪化する原因は複数存在します。

ここではアトピー性皮膚炎の主な原因を6つご紹介します。

ダニ・ホコリ

室内や寝具などについたホコリや、ダニの死骸・フンなどはアレルギー反応を引き起こす原因となります。
室内はこまめに清掃を行い、寝具についたホコリやダニの死骸・フンはふとん用のハンドクリーナーをかけるか、手ではたくなどして除去しましょう。防ダニ加工を施したシーツや布団カバー、枕カバーなどを活用するのもひとつの方法です。
なお、ホコリやダニは布につきやすいので、床だけでなく、カーペットやソファ、カーテンなども定期的に清掃・洗濯することが大切です。[注5]

[注5]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p44、45

食べ物

人によっては特定の食べ物がアレルゲンとなる場合もあります。
どの食べ物がアレルゲンとなるかは個人差がありますので、CAP-RASTやMASTといった抗原特異的IgE抗体の検査を実施し、アレルゲンを推定しましょう。アレルゲンとなる食物を完全に除去するか、部分的に除去するかは、かかりつけの医師と相談して決めることになります。
なお、食物アレルゲンはひとつとは限らず、複数の食物がアトピー性皮膚炎の悪化を招くこともあります。
食物アレルゲンの数が多い場合、必要な栄養素を食事から補えなくなることもありますので、代替食物による栄養の補充も考慮する必要があります。
なお、通常5歳〜7歳では食物制限は不要とされています。[注6]

[注6]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過_p44、45

細菌・真菌(カビ)

目に見えない細菌や真菌(カビ)がアレルゲンとなる場合は、入浴が有効な治療手段となります。 汗をかいていると雑菌が繁殖しやすいので、発汗したらなるべく早めに入浴するか、濡れたタオルなどで汗をこまめに拭き取るようにしましょう。[注7]

[注7]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p44、45

ペット

ペットの毛などがアレルゲンとなる人は、しばしば症状が重くなる傾向にあります。[注8]
こまめに清掃しても十分な対策とならない場合が多いため、ペットアレルギーのある人は飼育を控えたほうが無難です。

[注8]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p44、45

化粧品、外用薬

化粧品や外用薬はアトピー性皮膚炎による乾燥肌のスキンケアに有用なアイテムですが、成分によってはアレルゲンとなる場合があります。

アトピー性皮膚炎の治療を行っている医療機関で処方された薬なら問題ありませんが、市販の外用薬を使用する場合はかかりつけ医に相談しましょう。

また、化粧品はなるべくアレルゲンフリー、低刺激処方のものを使用するのがおすすめです。

ストレス

アトピー性皮膚炎においては、ストレスも重要な悪化因子のひとつに数えられます。[注9]
仕事や家事、育児、介護など日常生活におけるストレスはもちろん、アトピー性皮膚炎の症状そのものがストレスになることもあります。
場合によっては日常生活に支障をきたす原因となりますので、適度なストレス解消を心がけつつ、家族やかかりつけ医、身の回りの人たちの助けを借りることが大切です。

以上、アトピー性皮膚炎の主な原因をご紹介しましたが、皮膚機能異常に対してはスキンケア、炎症反応に対しては薬物療法を中心とした抗炎症療法がメインとなります。
医療機関で処方される薬物療法の場合、薬の用法・用量を守ればOKです。ただし、スキンケアは自ら行う必要がありますので、正しい方法を覚えておきましょう。

[注9]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p44、45

覚えておきたいスキンケアの基本

皮膚を清潔に保つイメージ

一時的な乾燥肌も、アトピー性皮膚炎も、日頃のスキンケアの基本は同じです。

ただ、誤った方法でスキンケアを行うと、症状が緩和するどころか、かえって悪化してしまうおそれがあります。

まずは正しいスキンケアの方法を確認し、効果的かつ効率的な乾燥肌のケアを目指しましょう。

ここでは乾燥肌を改善するために覚えておきたいスキンケアの方法を3つご紹介します。

1. 皮膚を清潔に保つ

細菌や真菌(カビ)はアレルゲンとなりますので、汗をかいたときや汚れがついたときは、なるべく早めに入浴やシャワーで落とすようにしましょう。入浴時に使用する石けんやシャンプーは、洗浄力の強いものを使うと肌に刺激を与えてしまいますので、低刺激のものを選ぶのがポイントです。
また、頭や体を洗うときは爪を立てたりせず、たっぷりの泡を使ってやさしく洗い上げることが大切です。仕上げのすすぎは泡が残らないよう、時間をかけて念入りに行いましょう。
湯船につかる場合は、ほてりを感じさせる入浴剤の使用は避け、かゆみを感じない程度のぬるま湯に調整します。[注10]

[注10]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p46

2. 皮膚を保湿する

肌の乾燥が見られる場合は、入浴・シャワー後に患部に保湿剤を塗布します。
市販の保湿剤でもかまいませんが、配合されている成分によっては症状が悪化する可能性がありますので、アレルゲンフリーや低刺激処方のものを選んで使用しましょう。
ただ、保湿剤には相性がありますので、いろいろ試して自分に合ったものを見つけることが大切です。

なお、軽めの皮膚炎なら抗炎症剤ではなく、保湿剤のみで改善させることも可能です。[注11]

[注11]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p46

3. 刺激を与えない工夫を行う

乾燥肌に悩まされているときは、なるべく外部からの刺激が加わらないよう、日常生活でさまざまな工夫を採り入れることを意識しましょう。
たとえば、室内はこまめに清掃して適温・適湿を保つ、直接肌に触れる肌着や下着を新調したときは事前に水洗いをする、爪は短く切りそろえておくなどです。[注12]

また、皮膚を掻くと炎症やじゅくじゅくが起こる原因となりますので、長袖を着たり、包帯を巻いたりして、ひっかき行動を物理的に防止するのも有効な手段のひとつです。

[注12]厚生労働省「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過 p46

まとめ

アトピー性皮膚炎の多くは乳幼児期に発症しますが、成人になってから発生するケースもあります。 年代別に症状が異なるので、一時的な乾燥肌との見分けも可能ですが、適切に対処するためにも、まずは医療機関で診断を受けることをおすすめします。

なお、アトピー性皮膚炎の症状のひとつである乾燥肌は、習慣的にスキンケアすることで症状を軽減できますので、正しい対処法をしっかり覚えておきましょう。

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