お腹周りのダイエットをするために知っておきたい基礎知識!
脂肪は体のいたるところにつくものですが、なかでもお腹周りの脂肪に悩まされている方は多いかもしれません。
お腹周りに脂肪がつく原因は複数ありますので、健康または美容のためにダイエットする場合は、原因に適した方法を取り入れましょう。
この記事では、お腹周りの脂肪の種類や、お腹周りに脂肪がつく原因、おすすめのダイエット方法と注意点について解説します。

お腹周りにつく脂肪の種類
e-ヘルスネットでは、肥満について以下のように述べています。[注1]
“肥満は皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満に分かれます。“
このように、肥満は2種類に分かれており、それぞれ蓄積される場所が異なります。
[注1]「内臓脂肪型肥満」e-ヘルスネット 厚生労働省
内臓脂肪
内臓脂肪とは、腹腔内にある腸の周りに蓄積するタイプの脂肪です。
e-ヘルスネットでは、内臓脂肪型肥満について以下のように紹介しています。[注2]
“内臓脂肪型肥満は、腹腔内の腸間膜などに脂肪が過剰に蓄積しているタイプの肥満で、下半身よりもウェストまわりが大きくなるその体型から「リンゴ型肥満」とも呼ばれます。
(中略)
この内臓脂肪型肥満を高血糖・脂質異常・高血圧などの上流に置き、内臓脂肪の蓄積を防ぐことが心臓病をはじめとする生活習慣病の予防につながる、と考えたのがメタボリックシンドロームの概念です。“
メタボリックシンドロームは健康に影響を及ぼすことが知られており、e-ヘルスネットでは、メタボリックシンドロームについて以下のとおり解説しています。[注3]
“メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。“
“肥満のうちでも、おなかの内臓に脂肪がたまり腹囲が大きくなる「内臓脂肪型肥満(内臓肥満)」が、高血圧や糖尿病、脂質異常症などをひきおこしやすくし、これら内臓肥満と高血圧や糖尿病、脂質異常症が重複し、その数が多くなるほど、動脈硬化を進行させる危険が高まるという考え方です。“
[注2]「内臓脂肪型肥満」e-ヘルスネット 厚生労働省
[注3]山岸 良匡,「メタボリックシンドローム(メタボ)とは?」e-ヘルスネット 厚生労働省
皮下脂肪
皮下脂肪とは、皮下組織に蓄積するタイプの脂肪です。[注4]
e-ヘルスネットでは、皮下脂肪型肥満について以下のように述べています。
“皮下脂肪型肥満は主に皮下組織に脂肪が蓄積するタイプの肥満で、お尻や太ももなど下半身の肉づきが良くなるその体型から、「洋ナシ型肥満」とも呼ばれます。女性は授乳期のたくわえとして皮下脂肪がつきやすいため、女性に比較的多くみられます。“
[注4]「皮下脂肪型肥満」e-ヘルスネット 厚生労働省
お腹周りに脂肪がついてしまう原因とは?
お腹周りに脂肪がついてしまう原因は、内臓脂肪と皮下脂肪で異なります。 内臓脂肪と皮下脂肪の違いについて、e-ヘルスネットでは以下のように述べています。[注5]
“皮下脂肪は過剰エネルギーをゆっくりと脂肪として蓄積していきますが、内臓脂肪は速やかに反応します。 逆に空腹時や運動に対してもゆっくりエネルギーを出す皮下脂肪に対して内臓脂肪はすぐ燃えます。皮下脂肪は定期貯金、内臓脂肪は出し入れ簡単な普通貯金にたとえられます。“
内臓脂肪は蓄積・燃焼ともに速やかに行われるのが特徴で、高カロリー・高脂肪の食事を続けていると、すぐさま脂肪として貯め込まれます。
逆に適度な運動や食事制限を行えばすぐに燃焼されますが、暴飲暴食や運動不足の生活が続いていると、いつまで経っても減らすことはできません。
一方、皮下脂肪は内臓脂肪とは異なり、短期間で蓄積されるものではありません。
蓄えが必要な授乳期には多少脂肪がつきやすくなりますが、それ以外は基本的に、偏った食生活や運動不足の慢性化により、時間をかけて蓄積されていきます。
その分、一度つくとなかなか燃焼されにくく、内臓脂肪よりも落としにくい脂肪とされています。
[注5]田中 久子,e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームを予防する食事・食生活」e-ヘルスネット 厚生労働省
内臓脂肪と皮下脂肪に共通する原因
お腹周りに脂肪がつく原因は脂肪の種類によって異なると説明しましたが、その両方に共通しているのが、乱れた食習慣や生活習慣、筋力の衰えです。
高カロリー、高脂肪の食事を続けていれば、内臓脂肪だけでなく皮下脂肪も蓄積されていきますし、運動習慣がなければ内臓脂肪・皮下脂肪のどちらも燃焼させることができません。
加齢とエネルギー代謝について、e-ヘルスネットでは以下のように述べています。[注6]
“一般的に加齢に伴って基礎代謝量は低下します。その主な理由として筋肉などの除脂肪量の低下があげられます。このことは活動時のエネルギー代謝量が低くなることにもつながります。“
[注6]大河原 一憲,「加齢とエネルギー代謝」e-ヘルスネット 厚生労働省
おすすめのお腹周りのダイエット方法

お腹周りのダイエットを目指すのなら、無理な食事制限ではなく、毎日の生活に運動習慣を取り入れるのがおすすめです。
定期的に運動を行うと、単純に消費カロリーが減るというだけでなく、筋肉がついて基礎代謝の向上も期待できます。
ただ、これまで運動習慣がない方が突然激しいスポーツなどを行うと心身に大きな負担がかかってしまうおそれがあります。
逆に、運動量が少なすぎると目立ったダイエット効果が現れにくいので、まずはお腹周りのダイエットに適した運動量を知る必要があります。
お腹周りのダイエットで知っておきたい身体活動基準
お腹周りのダイエットに取り組む際の運動量の基準は、厚生労働省がメタボや生活習慣病の予防を目的に定めた身体活動基準を採用するのがおすすめです。
身体活動基準とは、運動だけでなく、日頃の生活活動も含めた「身体活動」全体を対象にした基準のことです。[注7]
身体活動の強さは「メッツ」、身体活動の量は「メッツ・時」という単位で表されます。[注8]
たとえば3メッツの身体活動を1時間行った場合の身体活動量は3メッツ×1時間=3メッツ・時となります。
身体活動の基準は年齢によって2つに区分されており、18歳~64歳までは「強度が3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週行う」とされています。[注7]
ここでいう「3メッツ以上の身体活動」の具体例には以下のようなものがあります。[注7]

「23メッツ・時/週行う」という条件を満たすためには、掃除などを行いつつ毎日1時間の普通歩行を続ける、あるいは意図的な早歩きを週6日ペースで1時間続ける、などの方法があります。
一方、65歳以上の身体活動の基準は「強度を問わず、身体活動を10メッツ・時/週行う」とされています。[注7]
具体的には、横になったまま、あるいは座ったままでなければどんな動きでもOKで、毎日40分間続ければ、身体活動基準を満たすことができます。
なお、65歳以上の身体活動基準は、あくまで高齢者の身体活動不足を防ぐための基準であり、もし可能なら18~64歳の身体活動基準を採用しても問題ありません。
ただ、運動の強度が上がれば、より効率よくダイエットできる一方、体への負担も大きくなります。
特にこれまで運動の習慣がなかった方は、普通歩行や散歩など、日常生活に取り入れやすい運動から始めた方が長続きしやすいでしょう。
[注7]厚生労働省「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」
[注8]厚生労働省「身体活動・運動の単位」
お腹周りのダイエットの注意点

お腹周りのダイエットを行うにあたって注意したいのは、心身に負担のかかる方法を実践しないことです。
厚生労働省が策定した「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」でも、国民の健康増進を形成する基本的な要素となるのは「栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善」とされています。[注9]
お腹周りの脂肪を減らすために、無理な食事制限や断食を行ったり、「◯◯だけダイエット」など、偏った食生活によるダイエットを実施したりすると、体重減のかわりに健康を損なうおそれがあります。
特に若い女性は健康上、必要がないにも関わらず、見た目のためにダイエットをしようとする方も少なくありません。
e-ヘルスネットでは、無理なダイエットが引き起こす問題として以下のように述べています。[注10]
“誤ったダイエットなどによる偏った食生活は、鉄欠乏など潜在的な栄養不良のリスクを高めます。
鉄欠乏やそれに伴う貧血は、だるい・疲れやすいといった自覚症状や発育障害などをもたらします。“
また、若い女性の痩せは、低出生体重児の割合が増えている背景の一つであると考えられています。
お腹周りのダイエットにチャレンジする際は、自分にとって本当にダイエットが必要なのか、体や心に負担をかけない方法であるかどうかをよく考えてから実行に移すことをおすすめします。
[注9]厚生労働省「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」
[注10]林 芙美,e-ヘルスネット「若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題」e-ヘルスネット 厚生労働省
まとめ
お腹周りについてしまう脂肪には、内臓脂肪と皮下脂肪の2種類があります。
一般的に内臓脂肪は落としやすく、皮下脂肪は落としにくいといわれています。ただ、お腹周りのダイエットを行う際は無理な食事制限はせず、適切な量の運動を取り入れるのがおすすめです。
とくに若い女性は、見た目を変えたいと断食を含めた過度な食事制限を行うことがあります。しかし、偏った食生活によるダイエットは健康上の問題を引き起こす可能性があります。
お腹周りのダイエットは日頃の食事内容と運動習慣を見直して、無理のないペースで進めましょう。