子どもは虫歯になりやすい?虫歯になる原因や気を付けること
健康な永久歯で過ごすためには、子どものころから虫歯の予防に取り組むことが大切です。特に子どもは大人に比べると虫歯になりやすいとされています。子どものころに虫歯になってしまうと、永久歯に影響が及んでしまう可能性があるため、歯磨きをはじめとした入念な虫歯対策が欠かせません。
この記事では子どもが虫歯になりやすい原因や虫歯予防について解説します。

虫歯の原因とは?
子どもの虫歯について考える前に虫歯の原因を把握しておきましょう。
厚生労働省は虫歯について次のとおり定義しています
”歯の表面のプラーク(歯垢)の中には細菌が存在します。細菌は飲食物の中の糖分を摂取・分解して酸を出します。この酸により歯は溶かされます(脱灰)”[注1]
このように虫歯とは、プラーク(歯垢)に存在するミュータンス菌をはじめとした細菌が、歯の食べ物の糖分を摂取・分解して酸を出して歯を溶かしてしまう病気です。
[注1] e-ヘルスネット「むし歯の特徴・原因・進行」
子どもが虫歯になりやすい原因とは?
厚生労働省では子どもの虫歯について次のように報告しています。
” 子供はむし歯になりやすいことで知られます。その理由のひとつが、生えて間もない歯は十分に硬くなっておらず、石灰化が完全に進むまでに生えてから2〜4年かかるからです。また、砂糖を含んだ飲料やお菓子を好むことも要因として挙げられます。”[注2]
子どもが虫歯になりやすい原因は、乳歯と永久歯それぞれに特徴があります。
虫歯になりやすい原因 | 理由 |
---|---|
乳歯はエナメル質が少ない | 虫歯菌から歯を守るエナメル質が少ないことで虫歯の進行が早い |
周囲の人から虫歯菌が感染 | お箸やスプーンの共有などでミュータンス菌が感染する |
虫歯になりやすい原因 | 理由 |
---|---|
歯磨きがうまくできていない | 歯磨きが上手ではなく、磨き残しが多くある |
ダラダラ間食している | お菓子や間食の頻度が虫歯につながる |
乳歯はエナメル質が少ない
永久歯は虫歯菌から歯を守るエナメル質で覆われています。一方、乳歯はエナメル質が少ないため、虫歯になりやすいとされています。
周囲の人から虫歯菌が感染
先述のとおり、虫歯はミュータンス菌をはじめとした細菌から発生する酸で歯が溶けていく病気です。ですが、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはミュータンス菌はいません。赤ちゃんの口にミュータンス菌が発生してしまうのは、親をはじめとした家族や周囲の人から感染するからであると考えられています。例えば、親が赤ちゃんとお箸やスプーンを共有している、咀嚼した物を赤ちゃんに食べさせるといった行為から感染してしまいます。
歯磨きがうまくできていない
厚生労働省が以下のように指摘しているとおり、子どもが虫歯になりやすい原因として、歯磨きがうまくできていないという点も挙げられます。
”子供が自分で歯みがきを行う場合、奥歯や新しく生えた歯で磨き残しができることが挙げられます。子供に発生するむし歯の8割以上が、歯ブラシの届かない臼歯の溝(小窩裂溝)から発生しているという報告があります”[注2]
歯磨きはプラークを除去するため虫歯予防に効果的ですが、子どもの場合、歯磨きがうまくできないことで虫歯になりやすくなってしまいます。
ダラダラ間食している
虫歯の原因として食事が挙げられ、特に間食は虫歯の原因として広く知られています。e-ヘルスネットでは次のような間食が虫歯の原因として挙げています。
“食事性基質:糖分の摂取法、粘着性食品(キャラメルやチョコレートなど)の摂取頻度、間食の回数など[注3]
※食事に含まれる糖分量より間食時の糖分摂取が問題になると言われています”
子どもは成長のために補食として間食が必要になりますが、その際にキャラメルやチョコレートといった粘着性食品などを食べると虫歯につながる恐れがあります。
[注2]e-ヘルスネット「子供のむし歯の特徴と有病状況」
[注3]e-ヘルスネット「う蝕」
乳歯の虫歯が多いとどうなる?

虫歯になってしまう原因は色々と挙げられますが、乳歯はいずれ永久歯に生え変わるからといって、虫歯の乳歯を放置してはいけません。虫歯になった乳歯を放置することで他の歯が虫歯になってしまったり、顎や永久歯にも悪影響を及ぼす可能性があります。
正しく噛めなくて顎の発達に影響
虫歯の乳歯をそのままにしていることで噛み合わせが悪化してしまいます。さらに、噛み合わせは顎の発達と関係しているため、歯並び等にも影響を及ぼします。
歯並びが悪くなる
虫歯になった乳歯を放置していると、永久歯に生え変わったときの歯並びが悪くなる可能性があります。
例えば虫歯によって乳歯の頭の部分(歯冠)の形がいびつになることで、上下で噛み合わせている歯が伸びてきてしまい歯並びに悪影響を与えてしまう可能性があります。
また、虫歯によって永久歯が生えてくるスペースが減ってしまい、歯並びが悪くなる可能性があります。乳歯と乳歯の間には永久歯が生えてくるためスペースがありますが、虫歯を放置したことで乳歯が崩壊したり抜けたりしてしまうと、両隣の乳歯が寄ってきてしまい、スペースが崩れてしまいます。これにより、正常に永久歯が生えるスペースが狭くなってしまい、歯並びが悪化する恐れがあります。
永久歯の形成が不全
虫歯は放置することで歯の奥に進行してしまいます。その後、歯の神経まで到達すると、神経を腐らせてしまい歯の根っこに膿が溜まります。膿は乳歯の根の先にある歯胚と呼ばれる永久歯の元となる組織に影響を及ぼしてしまうのです。
歯胚が膿の影響を受けると永久歯の成長が妨げられてしまい、エナメル質形成不全と呼ばれる状態になってしまいます。エナメル質形成不全となった永久歯は虫歯になりやすく、乳歯から永久歯に生え変わったとしても虫歯になってしまう可能性があります。
子どもの虫歯を予防する

子どもの虫歯を予防する方法は次のとおりです。
家庭でできること |
・間食に気を付ける ・歯磨きをサポートする |
歯科医院でできること |
・フッ素塗布で歯を強化する ・定期検診を活用する |
家庭でできること
子どもの虫歯を予防するためには、間食に気を付けましょう。砂糖を含む食品や飲料の摂取回数、量を減らすのはもちろん、ダラダラと長時間食べないことも大切です。間食をする際は決まった物を決まった時間に食べさせるようにしましょう。
また、子どもは歯磨きがまだ上手ではないため、仕上げ磨きのサポートをすることが虫歯予防には大切です。歯磨きのサポートは、子どもの虫歯が多く発生する奥歯や新しく生えた歯を中心に行いましょう。
歯科医院でできること
家庭だけではなく、歯科医院での虫歯予防も有効的に活用しましょう。歯科医院では、フッ素塗布によって歯を強化できます。フッ化物は歯磨き粉にも使用されていて、フッ化物を配合していない歯磨き粉に比べて虫歯の抑制率は20〜40%にものぼるとされています。
また、定期的に歯科検診を受けて正しい歯磨きの方法を指導してもらい、普段の歯磨きでは掃除しきれないところを清潔にするようにしましょう。
まとめ
子どもが虫歯になりやすい理由として、乳歯にはエナメル質が少ない、歯磨きに慣れていない、間食をするということが挙げられます。また、親をはじめとした周囲の人から虫歯菌が感染してしまったことで虫歯になる可能性もあります。
乳歯はいずれ永久歯に生え変わるからといって虫歯になった乳歯を放置していると、顎や永久歯の成長に影響がおよび、歯並びが悪くなったり永久歯の形成が不全になったりしてしまいます。
このようなリスクを避けるためにも歯磨きのサポートや間食を調整するといった自宅での取り組みのほか、定期的な歯科検診を受けることも重要です。大切な歯の健康を維持できるよう、子どものころからしっかりとケアをしてあげましょう。