認知症ってどんな病気?原因や種類、症状を知ろう

「認知症という言葉はよく聞くものの、具体的にはどのような病気なのかよく分からない」という人は多いようです。そんな人のために、本記事では認知症の症状や原因、種類をご紹介。身近にある認知症について解説します。

目次

そもそも認知症とは?

実は、認知症は病名ではありません。認知症とは何らかの原因で脳細胞の働きが鈍る、もしくは脳細胞が死滅することで社会生活に支障をきたす状態をいいます。具体的には、記憶力、認識力、判断力が低下します。そして同じことを何度も繰り返し尋ねる、少し前に言ったことを忘れてしまう、本人は物忘れをしている自覚がないなどの現象が起こります。

認知症は、特定の病気が原因となっているケースを除き、完全に治す方法は現時点ではありません。そのため、発症後はリハビリテーションや薬物治療で症状の進行を遅らせることが主な治療方法となります。

認知症の種類は大きく分けて3タイプ

認知症は、原因によって複数の種類に分けられます。そのうち代表的なものがアルツハイマー型、脳血管性型、レビー小体型の3タイプです。中でもアルツハイマー型は認知症全体の60%以上を占めていることから「認知症=アルツハイマー」と認識している人も多いのではないでしょうか。原因によって症状や進行具合が異なるため、それぞれのタイプに合わせたケアを行うことが重要です。

気になる認知症の症状とは?

認知症の症状には、中核症状と周辺症状という2つの種類があります。それぞれの違いを見てみましょう。

認知症の中核症状と周辺症状
認知症の中核症状と周辺症状

1.中核症状

中核症状とは、脳の神経細胞が壊死し、その細胞が担っていた役割が失われることで起こる症状です。具体的には以下のような症状があります。

・記憶障害…直前に起きたことを忘れる、新しいことが覚えられないなど

・理解・判断力の障害…筋道を立てた思考ができなくなるなど

・見当識障害…時間・場所・名前分からなくなる、季節に合わない服装をするなど

・言語障害…言いたいことが伝えられない、または言われたことがわからない

・失行…ハサミを使う、ボタンを留める、箸を使うなどの日常的な動作が困難になる

・失認…自分の身体の状態や物の位置関係が分からない、また時計を見て時計が何か分からないなど、物が何かを認識することが困難になる

2.周辺症状

周辺症状とは、中核症状によって引き起こされる二次的な症状をいいます。記憶障害で日常生活が送れなくなったことに対し、本人が落ち込んでうつ状態に陥るような場合を指します。

周辺症状には、うつ状態・不安・無気力などの精神症状と、徘徊・興奮・攻撃・暴力などの行動異常があり、症状の現れ方は人によって異なります。これは周辺症状には本人の性格、環境、心理状態などが深く関係しており、個人差が大きく出やすいためです。

今後ますます増加する認知症高齢者

日本における65歳以上の認知症患者数は、2012年の時点で約462万人、MCIの人は約400万人に上ります1。その数は今後も増加する見込みです。

MCIは健常者と認知症の中間にあたり、適切な処置をとらないと将来的に認知症になる確率が非常に高い状態にあります。そのため、MCIの段階でいち早く認知機能の低下に気づき、適切なケアを行うことが重要です。

認知症患者数は、今後ますますの増加が予測されています。認知症を予防するためには、早期発見・早期治療が重要な鍵となります。そのためにも、まずは認知症という症状にについて知ることが第一歩です。

1厚生労働省「認知症施策の現状について」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000065682.pdf