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生活習慣病

生活習慣病を予防するために
気を付けたい食事のこと

日本人の平均寿命は年々延びています。しかし、その一方で生活習慣に起因する疾患にかかる人も多く、平成29年にはがんの患者数が約178万人、糖尿病患者は約328万人、高血圧性疾患の患者は約993万人にも上っています。[注1]
生活習慣病のリスクを低減する方法はいろいろありますが、なかでも食事の見直しは基本であり、率先して取り組むことが推奨されています。

この記事では、生活習慣病と食事との関係性、現代の食生活の実状を紹介するとともに、生活習慣病を予防する理想的な食事について紹介します。
[注1]厚生労働省「平成29年患者調査」

目次

生活習慣病と食事の関係性

健康的な体を維持するためには、ただやみくもに栄養を摂ればよいというわけではありません。食事のバランスによっては、さまざまな生活習慣病のリスクが高くなる可能性があります

たとえば、糖質(炭水化物)は人間の生命活動に必要な三大栄養素のひとつですが、摂取し過ぎると肥満や糖尿病、虚血性心疾患などの疾患リスクが高くなります。
同様に、三大栄養素のひとつである脂質も、過剰摂取をすると肥満や脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患のリスクが高まる原因となります。

一方、糖質・脂質・たんぱく質の三大栄養素と合わせて五大栄養素に数えられるビタミンやミネラル(無機質)は、体内で不足するとがんや骨粗しょう症、貧血などを引き起こす要因となります。
さらに、ミネラルとのバランスを取るために必要な塩分(ナトリウム)は、過剰に摂取すると高血圧や脳卒中、胃がんといった重疾患のリスクを高める原因になるといわれています。

このように、食事で摂取する栄養素が偏ると、生活習慣病のリスクを高める可能性があるのです。したがって、食生活を見直すときは、さまざまな栄養素を適量かつバランス良く摂取するよう心がける必要があります

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食生活のイメージ

現代人の食生活は、昔に比べると非常に豊かで、かつ多様化が進んでいます。
しかし、体に良い食生活を送れているかというと、必ずしもそうではありません。統計からは、生活習慣病につながる日本人の食事の問題点・課題点が浮き彫りになっています。

以下では、厚生労働省が公表している「令和元年 国民健康・栄養調査結果」をもとに、現代人の食生活に関連するデータをまとめました。

肥満者の割合

令和元年の国民健康・栄養調査結果によると、20歳以上の肥満者の割合は、以下の通りです。[注2]

20歳以上の肥満者の割合

日本人の肥満者の割合は、男性で33.0%、女性は22.3%となっています。
また、直近10年間の推移を見ると、女性はほぼ横ばいですが、男性は平成25年から右肩上がりに増加しています。[注2]

年齢別の統計をチェックすると、男性は40〜60代で全体平均の33.0%を上回っており、特に40〜50代の肥満割合は共に4割近くに上っています。
一方の女性は、他の年代に比べて60代以降の肥満率が高く、4人に1人以上が肥満となっています。

一般的に、年齢が上がると基礎代謝はだんだん落ちていくため、若い頃と同じような食生活を続けていると、糖質や脂質の摂りすぎで肥満になりやすい傾向にあるようです。

[注2]厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果」P18

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食塩摂取量の平均値

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人の1日の塩分摂取量(食塩摂取量)の基準を男性であれば7.5g未満、女性であれば6.5g未満としています。[注3]

令和元年における20歳以上の食塩摂取量の平均値は、男性は10.9g、女性は9.3gで、全体平均は10.1gです。[注4]
直近10年間の推移で見ると、男性は平成21年の11.6gから減少、女性も同年の9.9gから減っていることがわかります。
ただ、年齢別の統計を見ると、男女ともに60代以降の食塩摂取量が多く、60代男性の平均値は11.5g、60代女性の平均値は10.0gとなっています。

味覚を感知する味蕾(みらい)の数は若いほど多く、高齢者は新生児の1/2〜1/3ほどになると言われています。[注5]
若い方に比べると味を感じにくくなるぶん、塩分の多い濃い味付けを好むようになるため、若年層に比べて食塩摂取量が過多になりやすいと考えられています。

[注3] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準2020年版」P306
[注4]厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果」P23/P37
[注5]公益財団法人 長寿科学振興財団「味覚障害」

野菜摂取量の平均値

厚生労働省が進める「健康日本21」では、健康的な生活を維持するために野菜類を1日350g以上摂取することを掲げています。[注6]
令和元年における野菜摂取量の平均値は、男性で288.3g、女性で273.6g、全体平均値は280.5gです。[注7]
年齢別の統計を見ると、男女とも年齢が上がるにつれて野菜の摂取量が増える傾向にあり、60代以降の摂取量は300gを超えています。

一方、若年層の野菜摂取量は平均値を大幅に下回っており、20代男性は233.0g、20代女性は212.1gに留まっています。
野菜の摂取量が350g以上の者の割合も、60代以降は男女ともに3割を超えているのに対し、20代〜30代は1〜2割台前半と少なく、年代によって野菜の摂取量に大きな差があることがわかります。

厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査結果」によると、健康な食習慣の妨げとなる点として「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」「面倒くさいこと」などが挙げられています。
特に30代は「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」の割合が50%を超えており、働き盛りであったり子どもがまだ小さい家庭が多い世代は、健康な食習慣を送ることがなかなか難しいようです。[注8]

[注6]厚生労働省「健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料」P.98
[注7]厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果」P.24
[注8]厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果」P.7

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生活習慣病を予防する理想的な食事とは?

理想的な食事のイメージ

生活習慣病の予防につながる理想的な食事を摂るために、知っておきたいポイントを3つご紹介します。

1.「食生活指針」を参考にするところから始めよう

生活習慣病を予防する理想的な食事の基本を押さえるために、まずは「食生活指針」をチェックするところから始めましょう。

食生活指針とは、文部科学省、厚生労働省、農林水産省が平成12年に策定(平成28年に改定)した食生活ガイドのことです。
国では、国民の健康の増進や生活の質の向上、および食料の安定供給の確保を図るために、以下10項目を「食生活指針」として掲げ、その実践を推奨しています。[注9]

1.食事を楽しみましょう
2.1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを
3.適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を
4.主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを
5.ごはんなどの穀類をしっかりと
6.野菜・果物、牛乳・乳製品、豆腐、魚なども組み合わせて
7.食塩は控えめに、脂肪は質と量を考えて
8.日本の食文化や地域の産物を活かし、郷土の味の継承を
9.食料資源を大切に、無駄や廃棄の少ない食生活を
10.「食」に関する理解を深め、食生活を見直してみましょう

食事をするときは、以上10項目をもとに献立やメニューを考えましょう。

[注9]厚生労働省「食生活指針」

2.自分にとって適切な摂取エネルギー量、栄養素を知っておく

1日に必要な摂取エネルギー量および栄養素は、年齢や性別、体重などによって異なります。
食事から摂取するエネルギーや栄養素に過不足が生じないよう、あらかじめ自分に必要な摂取エネルギー量および栄養素を調べておきましょう。

まず、成人の1日に必要な推定エネルギー量を以下の計算式で求めます。

推定エネルギー必要量=基礎代謝基準値(kcal/kg 体重/日)×参照体重(kg)×身体活動レベル

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、性別・年齢別の参照体重における基礎代謝基準値を紹介しています。[注10]
基礎代謝基準値と、日常生活の内容から導き出した身体活動レベルを使って計算すれば、1日に必要なエネルギー量の目安を出すことが可能です。

たとえば、30歳男性の場合、基礎代謝基準値は22.5です。仮に体重が60kgだった場合、基礎代謝量は22.5×60kg=1,350kcalとなります。

一方の身体活動レベルは、デスクワーク中心なら「低い(1.50)」、職場で移動や立位での作業がある場合などは「ふつう(1.75)」、スポーツ活動などを習慣的に行っている場合は「高い(2.00)」と、それぞれ3つに区分されます。

したがって、先ほどの例の30歳男性の身体活動レベルが「低い」場合は、1,350 kcal×1.50=2,025kcalが1日に必要なエネルギー量となります。

なお、日本人の食事摂取基準(2020年版)では、他の栄養素の必要摂取量の策定方法についても以下のようにまとめています。

必要摂取量の策定方法

日本人の食事摂取基準(2020年版)には、各種ビタミンやミネラルの必要摂取量の策定方法も掲載されています。
これらのデータを参考にしながら、自分はどんな栄養素をどのくらい摂取すべきなのか把握しておきましょう。

[注10]厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3.1日の食事の目安を知っておく

厚生労働省と農林水産省は、1日に「何を」「どれだけ」食べたら良いか考える際の参考となるよう、平成17年に食事バランスガイドを策定しました。[注11]
食事バランスガイドは、健康な方々の健康づくりを目的に作成されたもので、食事の理想的な組み合わせや、おおよその量がイラストでわかりやすく示されています。

「1日に必要なエネルギーや栄養素の量は把握できたけれど、具体的にどんな献立にすればよいかわからない…」という人は、食事バランスガイドを参考にすると、全体的なイメージが湧きやすくなるでしょう。

[注11]農林水産省「『食事バランスガイド』について」

まとめ

現代はライフスタイルの変化などにより、食生活の在り方も変わってきています。
仕事や家事、育児などに忙しい毎日を送っている人にとって、食生活を根本から見直すのは簡単ではありません。しかし、自分にとって適切な食事の内容・量を把握していれば、外食や加工食品などを上手に活用しつつ、必要なエネルギーや栄養を摂取することができます。

生活習慣病のリスクを抑えるためには、バランスのよい食事を心がけることが大切です。
また、食事の見直しと共に、運動や睡眠などの生活習慣も改善すれば、より効率よく生活習慣病を予防できるでしょう。生活習慣病について気になる方は、太陽生命の「がん・重大疾病重点プラン」をぜひチェックしてみてください。

食事以外の生活習慣病予防については、「生活習慣病を予防するための5つの対策!」でもご紹介していますので、あわせてご確認ください。

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