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知っておきたい保険と税金!
保険金の受け取りにかかる税金と保険料控除を解説

生命保険に加入していると、年間払込保険料に応じて所得が控除される一方で、保険金等を受け取った時には所定の税金を納めなければならない場合があります。実際の手取り額は、税金により変わってきますので、生命保険と税金のかかわりについて、しっかり学んでおきましょう。

この記事では、生命保険料控除の内容をおさらいすると共に、保険金を受け取った時にかかる税金についてくわしく解説します。

生命保険料控除のおさらい

死亡保険や学資保険、医療保険などの生命保険に加入している場合、年間払込保険料の金額に応じて一定額が所得から控除されます

これを「生命保険料控除」といい、原則、会社員の方は年末調整で、自営業の方は確定申告でそれぞれ手続きを行うと、所得額が低減されて所得税や住民税の節税につながります。

具体的にいくら控除されるかは加入状況によって異なりますが、所得税は最大12万円、住民税は最大7万円の控除が適用されます。[注1]
生命保険は万一に備えて加入するものですが、公的な社会保険等で十分でない部分については自力で備えるという性質があるため、所得控除という形で税金が優遇されているのです。

一方、保険金・給付金の場合は、支払事由(死亡や満期到来など)によって税金がかかる場合があります

生命保険料控除について、くわしくは「生命保険料控除について徹底解説!適用限度額や計算、手続き方法など」 の記事を参考にしてください。

[注1] 公益財団法人 生命保険文化センター「税金に関するQ&A」

生命保険で受け取ったお金に税金はかかる?

医療保険の給付金を受け取った場合、ほとんどの給付金には税金がかかりません。

なぜなら、所得税法施行令第30条1にて「身体の傷害に起因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金」については、一律非課税と定められているからです。[注2]

つまり、契約者本人が病気や不慮の事故によるケガなどをして入院・手術・治療した際に、医療保険から支給される給付金には、受け取った金額にかかわらず、税金がかからないことになります。

一方、被保険者が死亡したことで支払われる死亡保険金や、学資保険や養老保険が満期を迎えたときに支払われる満期保険金、契約時に定めた年齢に達した際に支払われる個人年金などは、「身体の障害に起因して支払を受けるもの」に該当しないため、課税対象となります。

ただし、死亡保険金と同額の保険金を受け取れる高度障害保険金は、「身体の障害に起因して支払を受けるもの」とみなされるため、税金はかかりません。

また、契約している保険を中途解約したことで支払われる「解約払戻金」も課税対象となりますが、払込保険料累計額と解約払戻金の差額が50万円に満たない場合や、保険料の払込金額より少ない場合は非課税となります。

以下に、受け取り時に税金がかからない保険金・給付金の主な種類をまとめましたので、ご自身の契約内容と照らし合わせて、課税されるかどうかチェックしてみましょう。

●入院給付金
●手術給付金
●通院給付金
●傷害保険金
●特定損傷給付金
●がん診断給付金
●特定疾病保険金
●先進医療給付金
●高度障害保険金
●リビング・ニーズ特約保険金
●介護保険金

[注2]e-Gov法令検索「所得税法施行令」

保険金の受け取りにかかる税金の種類

保険金の受け取りにかかる税金の種類

保険金・給付金には、「所得税」「贈与税」「相続税」等の課税対象になるものがあります。
「保険金・給付金の種類」や「契約形態」により税金の種類が変わります。
「保険金・給付金の種類」は「死亡保険金」「満期保険金」「年金」の3つに分かれます。

「契約形態」は保険契約に定められている以下の3つの「人の関係性」により税金の種類が変わります。

契約者:保険料を負担する人
被保険者:保険の対象者
受取人:保険金・給付金を受け取る人

ここでは、受け取りに税金がかかる3つの保険金・給付金の種類ごとに、ご説明します。

死亡保険金の場合

被保険者が死亡した場合に給付される死亡保険金の場合を確認しましょう。

わかりやすいよう、ここでは身内(夫婦と子)を契約者・被保険者・受取人にした場合の課税関係を表にまとめました。

死亡保険金の場合の課税関係表

誰が保険料を負担(契約者)し、誰が保険金を受け取った(受取人)かの関係で税金の種類が決まります
@は、夫が保険料を負担し、夫の死亡に起因して妻が保険金を受け取るので、死亡保険金にかかる税金は相続税となります。

死亡保険金は、残された家族への大切な生活の糧となることから、相続税が課せられる死亡保険金には非課税枠があり、500万円×法定相続人の数で求めた金額は課税対象から差し引かれます。[注3]

Aは、夫が保険料を負担し、夫が保険金を受け取っているので死亡保険金は一時所得扱いとなり、所得税が課せられます。

Bは、契約者と被保険者、受取人がそれぞれ異なるケースです。夫(父)が保険料を負担し、子が保険金を受け取っているので、贈与税が課せられます。

親子間のやり取りなので相続税と誤解されやすいのですが、相続税が発生するのはあくまで契約者と同一の被相続人が死亡した時だけなので、契約者である夫(父)が生存している間に妻(母)の死亡保険金を子が受け取った場合は、贈与とみなされます。

[注3]国税庁「相続税の課税対象になる死亡保険金」

満期保険金の場合

学資保険や養老保険など、満期を迎えたことで保険金が支払われるケースを確認しましょう。

満期保険金の場合の課税関係表

@〜Bのケースでは、夫が保険料を負担し、夫が保険金を受け取っているので満期保険金は一時所得扱いとなり、受け取った保険金には所得税がかかります

なお、保険期間が5年以下と短い場合は、他の所得(給与など)と分離して一定の税率20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で源泉徴収される源泉分離課税が課せられます。[注4]

C〜Eのケースでは、夫が保険料を負担し、妻あるいは子が受け取っています。負担している人と、受け取る人が異なる場合は、贈与税がかかります

[注4]国税庁「源泉分離課税制度」

個人年金の場合

個人年金を受け取った時にかかる税金の種類は、契約者と受取人の関係のほかに、被保険者が生存しているかどうかどんな方法で受け取っているかなどの条件によって異なります。

個人年金の場合の課税関係表,被保険者が生存
個人年金の場合の課税関係表,被保険者が死亡

個人年金を受給中に被保険者が死亡した場合、未払いの年金を誰が一括または年金でもらうか、ということで税金の種類が変わります。また、保険料を負担した人(契約者)以外の人が受け取る場合、贈与税や相続税がかかります

個人年金の税金のかかり方は複雑ですので、契約時の受取人設定の際に保険会社の方に確認をとりましょう。

同じ所得税でも、保険金が一時所得扱いになる場合は、(一括で受け取った保険金額-保険料払込金額-特別控除額50万円)÷2=課税対象額になります。[注5]

一方、雑所得扱いになる場合は、(受け取る年金の総額-必要経費)で求めた値が課税対象額になります。

ここでいう必要経費は、年間の支払総額×総払込保険料/年金受取額×年数で計算します。

[注5]国税庁「生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」

結局税金はいくらかかるの?例をあげて解説!

受け取った死亡保険金にかかる税金の計算

前節で保険金にかかる税金の種類について解説しましたが、ここでは実際に2つの例を挙げて、受け取った死亡保険金にどのくらいの税金がかかるのか計算してみましょう。

例1. 契約者・被保険者が夫で、受取人が妻・子の場合

夫が契約者・被保険者として、死亡保険に保険金1,000万円で加入していると仮定して解説します。死亡保険金受取人を相続人である妻に設定している場合、受け取った保険金には相続税が課せられます。

相続人が保険金を受け取る場合、非課税枠が設けられています。法定相続人が妻と子ども2人の場合、500万円×3人=1,500万円までは非課税となります。

今回のケースの場合、死亡保険金は1,000万円ですので、受取人である妻は死亡保険金にかかる相続税を納める必要はありません。

例2. 契約者と受取人が夫、被保険者が妻の場合

契約者と受取人が夫で、妻が被保険者となる死亡保険(保険金1,000万円、保険料払込金額300万円)の場合、妻が亡くなった時に支払われる死亡保険金は、夫の一時所得となります。

一時所得について、課税の対象となる金額の計算方法は(一括で受け取った保険金額-保険料払込金額-特別控除額50万円)÷2なので、事例について算出する計算式は以下となります。

(1,000万円-300万円-50万円)÷2=325万円(課税の対象となる金額)

この金額と、給与など他の所得を総合して所得税を算出しますが、実際にいくら税金が増えるかは、他の所得や所得控除によって異なります。気になる方は、下記事例を参照に、ご自身で計算してみてください。

<計算事例>※下記以外の金額はないものとする
一時所得の課税の対象となる金額:325万円
他の所得:300万円
所得控除:100万円

(一時所得がない場合)[注6]
所得税額=(300万円-100万円)×10%−9.75万円=10.25 万円

(保険金を受けとり一時所得が発生した場合)
所得税額=(300万円+325万円-100万円)×20%−42.75万円=62.25万円

よって、一時所得の影響で増える所得税額は、52万円となりました。

所得税の速算表

[注6]国税庁「所得税の税率」

まとめ

生命保険に加入していると、払い込んだ保険料額に応じて税金の控除を受けられますが、一方で死亡保険金や満期保険金、個人年金などを受け取るときは給付額に対して各種税金がかかります

どんな種類の税金がかかるかは契約内容によって異なりますので、現在加入している保険の内容を確認しておくことをおすすめします。

また、医療保険をご検討の方はスマ保険の「入院重点プラン」もご参考になさってください。

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